「運転免許証偽造」業者に接触(イメージ)
全国で相次ぐ“外国人ドライバー”による交通事故。観光客らの運転が招くトラブルの増加を背景に、政府は外国の運転免許証を日本のものへ切り替える「外免切替」の厳格化に乗り出した。しかし、その規制強化の網を不正にかいくぐるかのように、中国人観光客向けの「運転免許証偽造」業者の動きが活発化しているという。中国事情に詳しいフリーライターの廣瀬大介氏がその実態に迫った。【前後編の後編。前編から読む】
国際運転免許証の違法入手も
偽造だけではなく、日本国内で運転できる国際運転免許証を取得する違法な手口もある。
国際運転免許証は、ジュネーブ条約加盟国で取得されたものであれば、日本国内で一定期間自動車を運転することが認められる。中国は同条約に加盟していないが、加盟国であるラオスでの不正な取得を斡旋すると謳う中国の業者も多数、確認されているのだ。
レッド(中国版インスタグラム)や、中国人向けフリマサイトでは、〈日本・韓国でレンタカー運転! 本物のラオスの免許証と国際免許証取得できます〉という内容の広告が大量に投稿されていた。コメント欄には、「最短でいつできますか?」「支払方法は?」など、購入希望者と思われる投稿も数多く確認できる。
業者に接触するためメールを送ると、秘匿性の高いメッセージアプリ・テレグラムに誘導され、詳しい説明が行なわれた。
「中国で発行された免許証があればラオスの免許証を取得できる。費用は1500元(約3万円)で、さらにラオスの免許証を使ってラオス発行のIDP(国際免許証)も取得できる。ラオスで取得した国際免許証があれば日本や韓国で運転することが可能です」
業者は申請者がラオスに赴く必要はなく、「パスポートの写真と顔写真があればこちらで申請し、すべて手続きが完了する。ラオスの免許証と国際免許証は1週間前後で郵送する」と説明した。
しかし、ラオス大使館に取材すると、免許取得にはラオスでの一定期間の居住などが必要だとの説明があり、業者は依頼者のフリをして違法に申請をしているとみられるのだ。現地の警察当局も「オンラインで国際免許証を手配する違法な仲介業者の存在はすでに把握しており、現在捜査を行なっている」と回答。
事態は差し迫っているものとみられる。
