北朝鮮・金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮の金正恩総書記の娘がにわかに注目を集めている。公の場に初めて姿を見せてからわずか3年。後継者の有力候補とされる“プリンセス”について全国紙外報部記者が語る。
「ジュエ氏は10代前半とみられ、軍事関連の行事などで正恩氏と並んで歩く映像が公開されています。露出が急増する一方、その正体は依然として謎に包まれています。北朝鮮から韓国に亡命した元外交官が、ジュエ氏の漢字表記が『主愛』であると明かしただけでニュースになるほどです」
朝鮮半島情勢に詳しい『コリア・レポート』編集長の辺真一氏は「後継者になる可能性が極めて高い。現在は帝王学を学んでいる段階でしょう」とみる。
そのうえで、明らかにされた娘の名前について、ある可能性を指摘する。
「北朝鮮の世襲は今度で4代目です。初代の金日成は、2代目の金正日に『日』という一文字を与え、2代目の金正日は、3代目の金正恩に『正』の字を与えています。
正恩も“革命の血統”の後継者として、どちらかの字をジュエに与えるのはもはや既定路線。漢字表記が明らかになる際には『金正愛』や『金恩愛』と改名されている可能性が大きい」
背景には世襲をめぐる不安があるという。
「女性への世襲を快く思わない“反対派”の党や軍の幹部がいるのも事実です。それを払拭するために軍関連の視察に優先的に連れ出しているのでしょう。
生まれた時には、正恩は娘を後継者にする気はなかったように思います。だからこそジュエ(主愛)という名前をつけたと考えられますが、後継者にするには相応の名前に変える必要があるのです」(辺氏)
金正恩の思惑と焦りが娘の将来を左右しそうだ。
※週刊ポスト2025年12月12日号
