「鉄道写真の神様」の名を決定づけた写真集『SL夢幻』収録の1カット。日豊本線田野〜青井岳間でC55の動輪を中心に撮影。1/8秒のスローシャッター。1973年3月(C)広田尚敬

「鉄道写真の神様」の名を決定づけた写真集『SL夢幻』収録の1カット。日豊本線田野〜青井岳間でC55の動輪を中心に撮影。1/8秒のスローシャッター。1973年3月(C)広田尚敬

SL全廃の感慨、新幹線の衝撃

1歳から「レールファン」という広田氏は馬車軌道からリニアまで、あらゆる鉄道を撮ってきた。

「今年は昭和50年12月にSLが全廃されてから50年。僕も室蘭本線を走る最後のSL旅客列車を取材に行きましたが、SLそのものの姿より、運行が終わり、散り散りに帰るレールファンの姿を見たときに『ああ、本当になくなってしまうんだ』と感慨深くなりました。衝撃だったのは昭和39年に登場した新幹線。これが日本中を走ったら世界が変わる、時代が変わると思いました」

今も毎月各地に撮影旅行に出掛ける。いまだ現役の「鉄道写真の神様」の作品は、鉄道ファンでなくても惹きつけられ、見飽きることがない。

取材・文/鈴木洋史

【プロフィール】
広田尚敬(ひろた・なおたか)/写真家。1935年、東京生まれ。幼少期より鉄道に興味を持ち、中央大学卒業後、会社員を経て1960年にフリーランスとなる。著書は絵本から図鑑や写真集まで幅広く、200冊以上。1988年設立の日本鉄道写真作家協会初代会長を務めた。集大成となる写真集『鉄道写真 広田尚敬』(小学館刊、税込み5万5000円、B4変型判ケース入り、318ページ)が発売中。

(告知)
■『鉄道写真  広田尚敬』刊行記念写真展
入場:無料
日時:2025年12月1日(月)〜19日(金)の平日9:00〜17:30
場所:小学館ビル1F展示室 ※土曜・日曜は休み
(東京都千代田区一ツ橋2-3-1  株式会社小学館本社ビル1F正面玄関)
※地下鉄神保町駅 A8出口直結【都営三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線】

■広田尚敬作品展「いつかまた 軽便鉄道」(2026年1月5日~2月1日)トークショー
広田尚敬氏と、『鉄道写真 広田尚敬』(小学館)の担当編集者・三浦一夫氏によるトークショー。展覧会の作品解説のほか、75年以上のキャリアの中で思い出に残る鉄道や撮影時のエピソードなどを聞ける貴重な機会。
参加費:300円
日時: 2026年1月17日(土) 14:00~16:00(開場13:30)
場所:JCIIビル6階会議室(写真展会場は、1階JCIIフォトサロン)
(東京都千代田区一番町25番地)
※東京メトロ半蔵門線半蔵門駅下車4番出口より徒歩1分
定員:100名 ※定員になり次第締め切り(要予約、座席指定なし)
お申込み・お問合せ先:03-3261-0300 (受付時間:平日・土日ともに10:00~17:00)

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