ゴールドジムで働く元千葉ロッテ投手の藤谷周平氏(撮影/藤岡雅樹)
フィットネスの知識が豊富な人材が多い
他に多い転身先が、フィットネス業界だ。
元千葉ロッテ投手の藤谷周平は、在籍4年で戦力外通告を受け、2014年のトライアウトに参加。藤谷を会場で目に留めたのが、ゴールドジムの社長で同社野球部監督の手塚栄司だ。
「後日、社長から直接お電話をいただき、『ダイナミックなフォームだね』と声をかけてもらったのが入社するきっかけでした。もともとフィットネスに興味はありましたし、社長の提案は、会社の野球部の選手兼コーチも務めて欲しいということだった。全日本クラブ選手権で優勝することが目標となりました」
社長の手塚が続ける。
「トップの選手ほど、ご自身がトレーニングにものすごく詳しい。そのように元プロ野球選手にはフィットネスの知識が豊富な人材が多いので、入社してすぐに適応できるんです」
藤谷はトレーナー、店舗責任者などを経験し、入社10年目の昨年からは国際部に籍を移した。海外の次世代マシンの導入が主な業務だ。幼少より米国で暮らし、米国の大学を卒業した藤谷は英語が堪能で、自身の来歴を活かせる職場にキャリアアップした。採用担当の石川明彦が話す。
「弊社はNPBの球団にトレーナーを派遣し、ウエイトトレーニングの指導も行なっています。そうした繋がりから、NPB球団のほうから元選手のご紹介を受けることもあります」
同社の元NPB選手の採用実績は5人(退職者を含む)。現在は藤谷のほかに篠原慎平(元巨人)が在籍し、女子野球部の監督も務めている。
(第3回につづく)
【プロフィール】
柳川悠二(やながわ・ゆうじ)/1976年、宮崎県生まれ。ノンフィクションライター。法政大学在学中からスポーツ取材を開始し、主にスポーツ総合誌、週刊誌に寄稿。2016年に『永遠のPL学園』で第23回小学館ノンフィクション大賞を受賞。他の著書に『甲子園と令和の怪物』がある。
※週刊ポスト2025年12月19日号
