奈美子さんが事件当日の朝に来ていた防寒着(撮影:水谷竹秀)
「廊下の白い壁には血飛沫が飛んでいました。刃物で首の動脈か静脈を切られたらしく、そうすると0コンマ何秒で血圧が下がり、意識がなくなって倒れると後に専門家から聞きました。奈美子は普段、コンタクトだったんですが、その日はたまたまメガネ。そのメガネも外れてぐしゃっとなっていました」
奈美子さんの遺体はその日の夜に搬送された。強盗ではなかったため、現場は特に荒らされた形跡はなかったが、血痕はフローリングや廊下の壁、玄関のたたきなどに付着したままだった。
事件発生からしばらく経ち、悟さんは部屋を片付けようとした。すると、奈美子さんが自分で買った和ダンス、洋ダンスなどの嫁入り道具は「捨てないでね」と奈美子さんの母親から伝えられた。「処分しなくていいんだ」と安堵した悟さんは、しばらく家賃を払うことにした。
