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【佐藤優氏が喝破する「陰謀論と政治」の真実】「陰謀論の全否定」を最も喜んでいるのは統治エリートたち、「国家の陰謀を覆い隠すカムフラージュになる」と指摘

陰謀は我々の社会のそこかしこで動いているものだという(イメージ)

陰謀は我々の社会のそこかしこで動いているものだという(イメージ)

 ネットを中心に流布されるさまざまな言説。“政府を裏で操る秘密の組織が存在する”“国家がワクチンによって遺伝子を操作しようとしている”――これらは「陰謀論」の一言で片付けられることも多い。しかし、その狭間に“真実”が埋もれていることを見逃してはならない――そう喝破するのは、インテリジェンスの専門家である作家・元外務省主任分析官の佐藤優氏だ。【第2回】

荒唐無稽な話が隠れ蓑に

 ただ、陰謀論をあまりおどろおどろしいものと考えないことも重要である。陰謀は我々の社会のそこかしこで動いているものだからだ。

 同じ学校の2人の生徒が「生意気だ」と認定した1人のクラスメートと口を利くのを止める。狭い空間で仕掛けられる小さな陰謀だが、国家を動かす陰謀も基本的に構図は同じだ。ウクライナ戦争を「バイデンが始めた私的な戦争」と判断したトランプがロシアと組んでウクライナのレアアース利権を奪いにかかる陰謀もあれば、反対に、米国の和平提案を組み替えたいウクライナと欧州が、米ロ高官の極秘通話を盗聴して流出させるような陰謀もある。

 こうした陰謀にも、政治家・官僚ではない助言者やシナリオライターが関与していることが多いが、もうひとつ重要なポイントがある。それは、陰謀を企図するシナリオライターは存在しても、その想定から現実はズレて進行するものだということだ。

 現実世界の成り立ちは複雑極まりない。当然のことながら、その場に繰り出される陰謀のインプット(計画)とアウトプット(結果)の関係は数学で言う「線形」ではなく、「非線形」になる。まっすぐな因果関係では結びつかず、あちこちに変転しながら結果にたどり着くのだ。

 にもかかわらず、複雑な現象をあえてポイントを絞って単純化し、線形にして説明するのが、「荒唐無稽なタイプの陰謀論」の特徴である。

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