AONトリオで唯一予選を通過、ホールアウト後に青木功(左)と握手する尾崎将司さん(兵庫・広野GC)(時事通信フォト)
「国内の試合を中心に戦う尾崎は自分の城を建てて功をなすタイプ。青木は旅をしてその先々で楽しむ。
青木はどんなところにいても平気だし、どこでもすぐに寝ることができる。尾崎は枕が変われば寝られない。そんな二人が、海外と日本に分かれたのは、ライバル心からではなく自分たちのスタイルによって自然に棲み分けができてしまったといえる」
2人が日本のゴルフ界やゴルファーに与えてきた影響も違う。これは青木功とジャンボのグループを見てもまったく違う。
「尾崎は野球出身なのでチームでやるのが好きだし、青木は個人技のゴルフしかやっていないので一匹狼として個人を磨く。尾崎のゴルフの基本は野球のチーム感覚なので将来は監督を目指す。それを引退後もゴルフアカデミーと言う形でやっている。
尾崎は一言でいえば傾奇者(かぶきもの)なんだよね。派手な衣装をまとって目立ちたいが、苦労して勝ったというのは見せたくない。プロは夢を与える職業だという考えなんです。尾崎が派手で、大ボラを吹いたりするが、実際には他人に見せない努力や苦労をしている。青木は一言でいえば勝負師といえる。自分の腕を試すために各地を回って道場破りをする。お互いに認め合い、両雄が並び立つのはそういった理由がある」
青木とジャンボがいたことで、プロのゴルフを見たいとトーナメント会場にギャラリーが駆け付け、ゴルフ中継の視聴率が上がった。
「尾崎がビッグドライブを放ち、2打目を直接チップインといったスーパープレーを見せる。青木はグリーン周りとパットで見せた。これがテレビ向きだった。テレビはショットが一瞬だが豪快さが伝わり、グリーン周りは時間をかけるのでボールが画面から消えない。そこでミラクルショットや奇跡のパットを打つ。時代にピッタリの2人の存在だった」
ジャンボは引退後にアカデミーを立ち上げて、練習と基本の大切さを原英莉花や笹生優花といった若いゴルファーに伝えた。青木功は自分の技術をもってゴルフを高めるというのでJGTOのトップとして日本のゴルフ全体に貢献した。引退後もライバル関係は続いていた。
ゴルフ界を牽引したジャンボ尾崎の冥福を祈りたい。
(了。前編から読む)
◆鵜飼克郎(ジャーナリスト)
