唯一、候補が決まっていなかった出羽海一門
九州場所は各一門が集まって理事候補の調整が行なわれるが、今回は出羽海一門だけ候補者が決まっていなかった。その背景に今回の木瀬部屋での暴力事件があったとみられる。11月まで、木瀬親方は理事候補のひとりに挙がっていたからだ。出羽海一門の関係者が言う。
「協会は65歳定年で、63歳以上は2年任期の理事には立候補できない。出羽海一門では現理事で63歳の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)と境川親方(元小結・両国)が勇退するため2つの理事席が空くことになる。後任として副理事の藤島親方(元大関・武双山、53)と56歳の木瀬親方が立候補するものと見られていた。
5期連続で副理事長を務め、長く協会本部に詰めてきた藤島親方が理事候補に昇格するのは既定路線。将来の理事長候補でもある。木瀬親方も早くから根回しをしてきたことで一門内に支持者もいるし、部屋付きの若藤親方(元幕内・皇司)と稲川親方(元小結・普天王)に加えて、弟子の志摩ノ海が先々代の井筒親方(元関脇・逆鉾)の長女と結婚して『井筒』を手に入れるなど一定の票も持っているので有力視されていた」
しかし、今回の委員から年寄への2階級降格という厳罰処分が下される不祥事により、木瀬親方は理事選挙への出馬を断念せざるを得なくなったとみられている。相撲ジャーナリストが言う。
「協会の職階は“委員”“主任”“年寄”など7階級あるが、2階級降格はなかなかに重い処分。2018年の貴ノ岩への暴行事件では、巡業中に起きた日馬富士による暴行を巡業部長として協会に報告せず、協会の調査にも協力しなかった貴乃花親方が臨時理事会で理事解任に決まった際、貴乃花親方に下されたのが2階級降格処分だった。その後の理事選の落選でさらに1階級降格し、弟子が暴力事件を起こした際にまた2階級降格の処分を受けた貴乃花親方は退職しました。
2010年の八百長騒動では階級が低くてそれ以上、降格させられない親方に『昇格停止3年』の処分が下された。その時から、事実上“1階級の降格=3年の謹慎”のような扱いと受け止められるようになったが、2階級降格なら6年の謹慎というわけ。木瀬親方は理事への道が断たれたと見ることもできる」
出羽海一門では初場所中に会合を開いて理事選の候補を決めるとされ、「元大関・栃東の玉ノ井親方が有力」(出羽海関係者)と見られているが、最後までどうなるかまだまだ目が離せない。