古谷敏(ふるや・びん)/1966年『ウルトラQ』(ケムール人役)出演を経て、同年『ウルトラマン』のスーツアクターに抜擢。近著に『60年目のスペシウム光線』(共著、小社刊)。2026年1月10日に池袋HUMAXシネマズにて前田日明氏とのトークイベントを開催
「スーツの中に水が入り込んで……」
古谷:ただ、そう考えられるようになったのも、この数十年かな(笑)。
藤岡:ですね。撮影中は毎日、毎日、憂鬱でした。正直、行きたくなかったです、撮影所には(笑)。今日は無事に部屋まで帰れるだろうか。救急車を呼ぶような事故など起こらないだろうか。と、夜も満足に眠れなくてね。この重苦しい切羽詰まった気分はスーツアクターを経験した者でなければわからない。先輩、そうですよね?
古谷:そうだね、一般の人には、ちょっとわかりづらい感覚かも(笑)。
藤岡:先輩が危険を感じた撮影というと?
古谷:水中での撮影だね。マスクの視界を確保する穴からプールの水が大量に入り込んできた。自分は確実に溺死だ、と思ったな(笑)。火に包まれるシーンも怖かったけど、やっぱり、水がリアルに死を感じた。
藤岡:水は怖いですよね。怪人と水中での格闘シーンでは、マスクの視界を確保する穴から水が流れ込み、アゴを覆っているプロテクターの隙間からも水が入り込んできていました。次第に口から鼻へと水が浸食してくるのは、恐怖でしかないですね。
(第3回につづく)
【プロフィール】
古谷敏(ふるや・びん)/1966年『ウルトラQ』(ケムール人役)出演を経て、同年『ウルトラマン』のスーツアクターに抜擢。近著に『60年目のスペシウム光線』(共著、小社刊)。2026年1月10日に池袋HUMAXシネマズにて前田日明氏とのトークイベントを開催。
藤岡弘、(ふじおか・ひろし、)/1965年、松竹映画にてデビュー。1971年『仮面ライダー』の主演で一躍人気俳優に。主演、出演作多数。次女の天翔天音が2026年1月配信予定の『仮面ライダーアインズwithガールズリミックス』(東映特撮ファンクラブ)で主演を務める。
取材・文/佐々木徹 写真/藤岡雅樹
※週刊ポスト2026年1月2・9日号
