「自分を磨き上げていくうちに、力が強いことだけが正義ではないことがわかってくる」と語った古谷敏氏
ウルトラマンがテレビに初めて登場してから60周年を迎えた。節目のいま、自叙伝『ウルトラマンになった男』でも知られる俳優でスーツアクターの古谷敏氏と、『仮面ライダー』の本郷猛役をつとめた藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談が実現した。第1回ではヒーローとして生き抜く覚悟について、第2回では撮影中に危険を感じた体験について語り合った。第3回はヒーローとしての宿命への思いを明かす。【全3回の第3回】
目の輝きは世界共通
古谷:作品の生みの親たちの影響を受けて、壮絶な撮影が終わってからも“夢を与えるヒーロー”の宿命を背負うことになった僕たち。でも、それが嫌だと思ったことはなくて。
藤岡:苦でもなくて。
古谷:宿命を背負ったことを嫌だと感じたことがないのはなぜだろう、とたまに考えることがあるんですが、答えは子供たちの目にあるんじゃないかな、と。
藤岡:同感ですねえ。
古谷:ヒーローを目の前にしたときの子供たちのキラキラ輝く目の光り。あの光りを失わせないために僕らは頑張り続けてきた、今も頑張っていると言っても過言じゃない。
藤岡:私ね、これまでに何度も世界中で救済活動を行なっているんですよ。紛争地帯で行き場を失った人たちのためにトラックを駆って救援物資を運んだり。その過程でたまに賊に遭遇し、危ない目に遭ったりもしていますが(笑)。
古谷:驚いたな、その行動力、まんま本郷猛じゃないですか(笑)。
藤岡:なんとか物資を届けることができた際、仮面ライダーのグッズを子供たちに渡すんです。すると、仮面ライダーを観たこともない外国の子供たちの目がキラキラ輝くんですよ。彼らはライダーの人形をギュッと握りしめる。
古谷:人形からでもライダーのヒーローとしての存在感、エネルギーのようなものを敏感に感じ取れるんだろうね。
藤岡:そうでしょう。そのとき、私は感じたんですよ。子供たちの目の輝きは、国境も人種も超え、世界共通。この目の輝き、灯された光りが必ずや新しい世界を築き上げていくのではないか。
古谷:ヒーローの存在が綿々と受け継がれていくことは、次の世代を担う子供たちが未来へ向けて希望を繋いでいく想いと一緒ですよ。
