米当局者に連行されるマドゥロ大統領(AFP PHOTO / X account of Rapid Response 47)
トランプは孤立主義ではなく「反・制度主義」
元国防総省高官は、こう証言する。
「ベネズエラは中東より政治的コストが低く、成功すれば“勝利の物語”を演出しやすい。正直、トランプ向きだ」
トランプ外交はしばしば孤立主義と評されるが、より正確には「反・制度主義」である。国連、OAS(米州機構)、人権外交──こうした多国間枠組みを通じた圧力を、トランプ氏は「回りくどい」「弱腰」と一蹴してきた。共和党系の外交ブレーンはこう語る。
「トランプ氏にとって外交とは、交渉ではなく取引だ。相手が動かなければ、力を見せる。それだけの話だ」
この論理に立てば、今回のような限定的な軍事行動、空爆、あるいは特殊部隊の投入、港湾や精製施設の制圧は、「戦争」ではなく、交渉を早めるための前段階にすぎない。
トランプ再登場の最大の特徴は、アメリカ国内向けに、成果を即座に示すことにある。
ウクライナ戦争の即時終結は困難で、対中正面衝突はリスクが高すぎる。その中でベネズエラは、米国の「裏庭」に位置し、同盟国との調整が最小限で済み、世論の反発も限定的という条件を満たしている。だから「政治的コストが低い」というのだ。
