4月開催予定の米中首脳会談で密約が交わされるのではないかという見方も(写真=中国通信/時事通信フォト)
米国のトランプ大統領は今年4月に訪中し、習近平主席との会談で中国がベネズエラに持っていた石油などの権益について協議すると見られている。外交専門家の間では、米中首脳会談で、「米国は中国が台湾領有を進めても手を出さない」という密約が交わされるのではないかという見方が強まっている。つまり、米国が台湾を見捨てる可能性があるのだ。そして、その事実は日本にも影響をこととなる。【全3回の第3回。第1回から読む】
安倍元首相のゴルフ外交の意味
米国が台湾を見捨てた途端、台湾有事に向けたカウントダウンが始まる。そうならないために日本は今、外交力を駆使するしかない。元朝日新聞編集委員(外交・米中関係担当)で『台湾有事と日本の危機 習近平の「新型統一戦争」シナリオ』などの著書がある峯村健司・キヤノングローバル戦略研究所上席研究員兼中国研究センター長が語る。
「高市早苗・首相は米中首脳会談の前、3月に訪米してトランプ大統領と会談する日程を検討している。そこでトランプ大統領に、『習近平は本気で台湾を取りに行く気だ』と伝える。そうなると、『米国は東アジアから追い出され、あなたの大事な同盟国である日本の国力はダメージを受ける。あなたに約束した投資も実現できなくなるし、輸出力が衰え関税も取れない。それでいいんですか』と伝えるのです。
もう一つ、『中国なんて信じるな』と。習主席はずっと微笑み外交を続けているが、それはトランプ大統領を騙すためにやっているのだと説得し、米国はどんな形であっても中国の台湾併合は認めないという姿勢に転換させなければならない」
トランプ大統領の説得は一筋縄ではいかない。
「かつて安倍晋三・首相がトランプ氏に訴えてきたのも台湾問題でした。トランプ氏は一度忠告してもすぐ忘れてしまい、意見が元に戻ってしまう。安倍さんは苦労していた。『もう何度も言ってもね、意図的なのかどうなのか分からないんだけれど、忘れちゃう。だからしつこく言わないといけない』と。首脳会談のたびに一緒にゴルフをしたのはそのため。正式な首脳会談は時間が限られているし、トランプ氏は自分の言いたいことだけ言って相手の話は聞かない。
しかし、ゴルフであれば3時間ほどのラウンドになって首脳会談より時間が取れる。その間は本音で話ができます。『マスコミはゴルフばかりと言うけれども、こっちはゴルフが好きでやっているわけじゃない』と安倍さんは言っていた。そうした安倍外交を間近で見ていた私から見ると、高市さんのアプローチははっきり言って弱い。一度言ったから伝わっていると思い込まずに、電話会談ももっと積極的にやるべきです」(同前)
4月の米中首脳会談まであまり時間がない。
解散で賭けに出た高市首相だが、中国はレアアース輸出規制など日本への圧力を強め、その裏では台湾危機が進行している。日本が台湾有事で米国抜きの対応を迫られるかどうか、高市外交はまさに正念場を迎えている。
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※週刊ポスト2026年2月6・13日号
