駐車場は車でいっぱい(写真提供/イメージマート)
「家の近くに変わった書店が出来て、それがいわゆるエロ本屋だったんですよ。看板には書店としか書いてないから、子どもが『ママ本屋さん行こう!本屋さん行こう!』って言うんですけどね。行けないでしょう、さすがに」
ここまでは笑っていた女性だが「さらなる悲劇」に話が移ってからは終始顔をしかめた。
「その書店の敷地内に、ビデオ試写室というのが出来ました。夫に聞くと、個室の中で男性がアダルトビデオを見るところなんだそうです。今度は子供が『ビデオ見たい!何のビデオが見られるの?』と。もういい加減にしてほしいというか。まあ商売ではあると思うんですよ。もう少し考えてもらえんだろうかと思いますよ」
筆者が件の「書店」を覗きに行くと、休日の午前中にもかかわらず、駐車場は地元ナンバーの車でいっぱいだった。中には、早朝の農作業後に駆け付けたのか、泥付きの軽トラまで駐まっていたから、確実に需要があることも伺える。
他方、中国地方の山間部、今時携帯電話の電波が「ほぼ入らない」というエリアを車で走行中、筆者が路肩で見つけたのは、昔懐かしいアダルト本の自動販売機。筆者が未成年だった20年以上前でも「アダルト遺産」とされた自販機が、今なお活躍していた。
成人向けの書籍やメディア、グッズなどを主として販売する店舗は、風俗営業法と都道府県の青少年健全育成条例などの法律によって営業できる地域に規制がかけられている。住宅密集地でないのはもちろん、携帯電話の電波も届かないような地域が、そういった制限のある場所だということは考えづらい。さらに、鄙びた場所に実店舗を構えたとしても、ネットに頼らない口コミなどの昔ながらの伝達方法で情報が出回り、求める人たちに見つけてもらえる。送り手と受け手の希望が叶う場所として、こういった書店が各地に増えているのかもしれない。
全国隅々まで、高速ネット回線が整備された日本では、スマホなどを使ってすぐにどこでも、どんなコンテンツにも手元のスマホでアクセスできるようになった。しかしその反面、特に地方に住む中高年者などはなかなかその恩恵を受けにくい環境がある。したがって、かような「書店」のニーズが根強く存在する、ということなのかもしれない。
