公用車の衝突事故が鮮明に記録されたドラレコ映像(hirofumiさん提供)
タクシー運転手が語った「恐怖の事故現場」
「車の左後方で、突然“ドカン!”と大きな音と衝撃がして、何が起こったかわからないまま景色がすごい速さで変わっていった。『ああ、これはもう死ぬな』と思いました」
沈んだ表情でこう語るのは、一連の事故でワゴン車が直撃したタクシーの男性運転手・Yさんだ。Yさんは事故前、赤坂のTBS近くでZさんを客として乗せ、大門方面に向かってタクシーを走らせていたという。
「お客様(Zさん)はジャケットを着た若いビジネスマン風の方で、助手席の後ろに当たる後部座席左側に座っていました。その日は時間帯にかかわらず道がスムーズに流れていて、時速50キロくらいで特許庁前交差点に進入したんです。横断歩道を通過しようとした時、車の左後方でドカンというすごい音と衝撃が同時にあって、何が起こったのか全くわかりませんでした。
すぐにハンドルが動かないように固定して、ブレーキを踏みました。車両はタイヤを地面に付けたまま、反対車線を走っていた車数台とぶつかりながら2回転くらいして、最後にゴミ収集車にぶつかってストップした。自分は頭を打たないように咄嗟にガードしましたが、車が止まった時は自分が生きていることが不思議なくらいでした。その時、ふと視界に入った信号がちょうど青から赤に変わったので、『自分の信号無視ではない』と確信した」
Yさんはすぐさま、乗客であるZさんの状況を確認しようとしたという。
「すぐに後部左側に座っていたお客様の方を振り返ったんです。『お客様!』と大声で3回ほど呼んだのですが、気を失っているようで返事がなかった。これはまずいと思って、胸ポケットからスマホを出してすぐに警察に通報しました。
運転席のドアは奇跡的に開いて外に出られました。車体は、後ろのガラスは割れていて、ワゴン車がぶつかった後部左側からトランクルームにかけて骨格がひしゃげ、原型がないほどグシャグシャになっていた。前方に取り付けてあったドライブレコーダーも飛んでしまって、どこにあるのか行方不明になりました。
後からニュースで、お客様(Zさん)が亡くなったことを知りました。私が生き残って、お客様が亡くなられてしまったのなら、言葉に言い表せないほど残念です。ワゴン車が私のタクシーに当たった位置から推測すると、もし走っている位置が10センチほど後方だったら、私もお客様も一緒に事故で亡くなっていた。今生きているのが不思議なくらいです」
