こんなふうに字体を変えられることを知らなかった
「ヨウセイダーーーーーーーーーッッッ!」「なんでムラサキ色の坊主頭にしてんだ!?」など、本誌連載中に読者や出版関係者からも驚きの声が上がった、本文中の文字の字体や大きさを自在に変えたデザインは、単行本でも踏襲されている。
「こんなふうに字体を変えられるってこと自体、私は知らなかったんですけど、アメコミ調みたいにできるって聞いて、やっていただくことにしました。小説の連載を、『女性セブン』のほかの誌面に負けないレイアウトにしたいとお願いしていたこともあります。次から次へとニュースが掲載される誌面に置いてみたとき、小説の文章にもこういう新鮮さが必要なんやと思いました。
単行本にする前にゲラ(校正刷り)を見ていたら、由依は喋ってる声のフォントが大きくなってるんですけど、夫の俊貴はいつも心の声なので、改めて夫の苦悩がわかるなと思いました」
タイトルの『グレタ・ニンプ』はもちろん「ぐれた妊婦」という意味だが、作中にちらっと出てくる環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんの姿や、往年の女優グレタ・ガルボも連想させる。
「ちょっとエキセントリックなイメージを重ねていった感じですね。字面だけなんですけど、ユーミン(松任谷由実)がペンネームに使った呉田軽穂も意識しています」
冒頭の『八つ墓村』を思わせる姿もそうだが、俊貴が豹変した妻を見て思い浮かべるデニス・ロッドマン(元プロバスケットボール選手)やアニマル浜口といったイメージに爆笑を誘われる。
「『八つ墓村』って実際の殺人事件をモデルにしているので、『こんなふうに書いていいんやろうか?』と自分の中で一回、検閲が発動したんですけど、『女性セブン』のほかのページを見て、『ま、いいか。いける』と。妙な自信が生まれました(笑い)」