国内
石破茂首相は保守か、エセか

小林よしのり氏 本当の保守は“女性・女系天皇”の道を拓くべき「“男系闇堕ち”した石破首相はエセ保守と変わらない」

漫画家の小林よしのり氏が石破首相を分析

漫画家の小林よしのり氏が石破首相を分析

 来る総選挙は、自民党総裁の石破茂首相と野党第一党・立憲民主党の野田佳彦代表がともに「保守」を自任する政治家としてぶつかり合う。だがこの2人、果たして“本物の保守”なのか。漫画家の小林よしのり氏が、石破首相について分析する。

 * * *
 わしはずいぶん早くから、石破氏には期待をかけていたんだよ。安倍晋三的なネトウヨ議員ではないと思っていたからね。

 本当の保守であれば、日本の皇統を守るためには「女性・女系天皇」の道を拓かなければならない。旧宮家系の男系男子で皇族になってもいいという者はいないんだから、何もしなければ皇統が絶えてしまう。

 それなのに、安倍氏に影響された議員たちは、「女系反対」「絶対男系だ」とネトウヨの望むことばかり言って、人気を得ようとしている。高市早苗氏もそうだ。自民党内全部がネトウヨ化しちゃったなかで、石破氏はそうではないとわしは思っていた。

 ところが、彼は自民党総裁選で推薦人20人を集めるのに長島昭久氏ら男系固執議員の推薦を取り付けて、ようやく出馬にこぎつけた。長島氏は、石破氏を支持するにあたって「皇位の男系継承堅持をご本人に確認して決断」したとX(旧ツイッター)で明かしている。その言葉通りに石破氏は、総裁選出馬表明後は「悠仁さままでの継承は決してゆるがせにしてはならない」と繰り返し、ついには女系天皇に関して、「容認するとは言っていない」とまで明言した。男系固執議員に大きな「借り」ができて、完全に“男系闇堕ち”したのだ。

 こんなことでは皇室典範改正はできないよ。わしが一番心配しているのは、上皇陛下と上皇后陛下が生きているうちに皇統が続く証を見せられないことだ。わしが皇室典範改正をやらなければならないと思ったのも、皇統が続いていくかをご心配されている上皇陛下と上皇后陛下の御心を知ったから。

 これでは石破氏はエセ保守と変わらない。エセ保守は、「我こそは尊王である!」って言いながら、皇室に敬意など持ってないわけ。つまり、旧日本軍と一緒なんだよ。天皇陛下の軍隊であると言いながら、陛下のご意思を無視して満州にどんどん進軍していってしまう。それを止めようとしたのが吉田茂だった。

 吉田茂は、「臣茂」つまり自分は天皇の臣下だと言った。それで戦争拡大を止めようとして公安とかににらまれて逮捕されたりした。戦後はGHQに媚びてると言われたけど、それは天皇を守るためだった。

 石破氏は同じ茂だが、「臣茂」ではない。「賊茂」だ。今回の解散にしても、本来は国会の指名に基づいて天皇陛下から総理大臣に任命されてからでないと解散権は持てない。それを彼は陛下からの解散詔書をもらってないのに勝手に解散を決めてしまった。今回の解散自体が、天皇陛下を全然敬ってはいない。だから、おそらく皇室典範改正にも踏み切ろうとしないでしょう。

 野田佳彦氏のほうが女系天皇に道を拓く可能性は高いんじゃないか。立憲民主のほうが男系絶対派が自民より少ないからね。

【プロフィール】
小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年生まれ、福岡県出身。漫画家。井上正康氏との共著『コロナとワクチンの全貌』(小学館新書)など著書多数。近著に『ゴーマニズム宣言SPECIAL 愛子天皇論2』(扶桑社)など。

※週刊ポスト2024年11月1日号

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
フランクリン・D・ルーズベルト元大統領(写真中央)
【佐藤優氏×片山杜秀氏・知の巨人対談「昭和100年史」】戦後の日米関係を形作った「占領軍による統治」と「安保闘争」を振り返る
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン