ライフ

国による除染決定も2年経っても半数の地域は除染されぬまま

安全宣言が出された福島産の米。しかし、その後、規制値を超える汚染が見つかり、一部が出荷停止に。年内に冷温停止可能と国が発表した福島原発だが、こちらもその後、想定外の放射線量が計測され、いまだ予断を許さない状況にある。

そもそも、なぜ放射能を避ける必要があるのだろうか。

人間の体は、大量の放射線を浴びるとDNAが切断され、細胞ががん化しやすくなる。具体的には、年間100ミリシーベルト以上を浴びると発がん率が上昇することがわかっており、細胞分裂が活発な子供は大人の2~3倍の発がんリスクがあるという。

年間100ミリシーベルト以下の被曝が人体に与える影響はまだよくわかっておらず、「問題なし」とする学者と、「避けたほうがいい」とする学者で賛否が分かれている。

放射線防護学が専門の日本大学歯学部専任講師の野口邦和さんは、人が浴びる放射線量はあくまで「ゼロ」を目指すべきという立場だ。

「どんなに低い線量でも、放射線を浴びたときの発がんの可能性はゼロとはいいきれません。リスクがある以上、できる限り被曝を避ける方法をとったほうがよい」(野口さん)

国が目標とする被曝基準は、年1ミリシーベルト未満。空間線量がそれ以上の地域については、国の責任で除染することを決めた。しかし、該当する全ての地域をすみやかに除染することは難しそうだ。

「現在、放射線量が高い場所や避難者の帰宅につながる場所など、除染地域の優先順位を決める作業をしています。2年後をメドに50~60%の除染を終了する目標です」(環境省の除染チーム)

つまり、2年たっても半数の地域は除染されないままなのだ。ならば行政に頼るのではなく、自ら放射線量の高い場所を把握し、避けたり、除染するよう心がけたい。

具体的な方法は上記に示したが、まずは自宅の庭と自宅周辺の公園で放射線量を計測すべきと野口さんはいう。

「セシウムは土や草に吸着しやすい。子供がよく遊ぶ場所に危険が潜んでます。放射線を測るガイガーカウンターは知人から借りたり、手頃な値段で性能のいいものを購入しましょう。自宅周辺の汚染されていそうな場所を測り、線量が高ければ近づかないようにしてください」(野口さん)

危険な線量かどうかの判断は、多くの自治体が除染基準として採用している毎時0.19マイクロシーベルト以上を目安にするとよい。

※女性セブン2011年12月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
イエローキャブの筆頭格として活躍したかとうれいこ
【生放送中に寝たことも】かとうれいこが語るイエローキャブ時代 忙しすぎて「移動の車で寝ていた」
NEWSポストセブン
優勝11回を果たした曙太郎さん(時事通信フォト)
故・曙太郎さん 史上初の外国出身横綱が角界を去った真相 「結婚で生じた後援会との亀裂」と「“高砂”襲名案への猛反対」
週刊ポスト
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン