国内

大阪維新の会 大口後援者にマルハン、ソフトバンク、パソナ

 橋下徹・大阪市長率いる大阪維新の会が次期衆議院選挙の準備を本格化させつつある。

 9月12日に「大阪から国を変える!!」をスローガンに地元で大々的な政治資金パーティを開き、その後、維新候補たちが全国遊説に乗り出す予定だ。

 総選挙を戦うには軍資金が必要だが、すでに大口スポンサーの名前も挙がっている。

 橋下氏は大阪府知事時代から大阪カジノ構想を推進し、今年2月には松井一郎・大阪府知事とともに香港のカジノ運営会社CEOと会談、「任期中に誘致の道筋をつけたい」と協力を要請した。さらに記者会見(5月24日)でも、「先進国でカジノがないのは日本くらい。カジノは観光や集客のツールになるだけではなく、うまく使えば所得税制に代わるか並ぶくらいの所得の再配分機能を果たす重要なツールになる。国会議員にそういう発想はないんですかね」と持論を展開してみせた。

 維新の会の情報収集をしている民主党関係者が語る。

「カジノ構想に熱心な企業が京都のマルハン。全国にパチンコ店やボウリング場、ゲームセンターなどを展開する年商2兆円という遊技場最大手で、マカオのカジノに出資したり、カンボジアに銀行まで設立している。

 しかし、日本では国の規制が強くてカジノの実現にはハードルが高い。そこでマルハンがカジノに理解のある橋下維新の会の国政進出を支援するという情報がある。Jリーグ・大分トリニータに十数億円出したスポンサーとしても知られる資金力豊富な企業だけに、維新の会の人気に、大口スポンサーが結びつけば大変な脅威になる」

 マルハンと橋下氏には接点がある。橋下氏が府知事時代に発足したカジノ構想の研究会「大阪エンターテイメント都市構想研究会」の会員企業には大手広告代理店や鉄道会社、電機メーカー、建設会社と並んでマルハンが参加している。

 さらに、今年5月に溝畑宏・前観光庁長官(現・内閣官房参与)が大阪府特別顧問に就任したが、溝畑氏はカジノ構想の推進者で、大分トリニータ社長時代からマルハンとのパイプが太いことで知られる。

 その溝畑氏はマルハンの維新支援情報についてこう語る。

「橋下氏とは私が観光庁長官になる前からのおつきあいで、今回、松井府知事から大阪を元気にしたいという要請があって全面協力しようと顧問に就任しました。マルハンの韓昌祐・会長にもJリーグの時から随分お世話になっています。韓会長のもとにはいろんなところからスポンサーの要請が日に何件も来ているようです。

 とはいえ、一代であれだけの事業を築き上げた方だから、(支援するかどうかの判断は)相当シビアだと思いますね。維新の会のこともあくまでニュートラルに見ているのではないでしょうか。少なくとも、私がマルハンと維新の会をつないだというのは誤解です」

 マルハン経営企画部は、「大阪エンターテイメント都市構想研究会には娯楽産業の振興を目的に参加している。チャレンジする人を応援するというのはわが社の社風ですが、維新の会を社として応援しているということではない。会長や社長が個人的に支援しているかどうかまでは把握しておりません」と回答した。

 一方、橋下氏自身はこの間、有力経済人と政策について意見交換をしてきた。ソフトバンクの孫正義・社長はツイッターで橋下氏にエールを送ってきたことで知られるが、橋下氏は今年1月に上京した際、孫氏や宮内義彦・オリックス会長らと会談し、エネルギー政策や大阪府市改革で意見交換したことが報じられている。橋下氏が大阪府知事選に出馬した2008年当時に堺屋氏とともに応援した経済人にはパソナの南部靖之・社長もいる。

 宮内氏は小泉内閣の総合規制改革会議議長として郵政民営化を推進した人物で、孫氏と南部氏は安倍晋三・元首相のブレーン経済人として知られる。

 安倍氏は維新の会と連携して政界再編を志向する動きを見せているが、背景には、「安倍氏を中心とする上げ潮派(経済成長重視派)は橋下氏とブレーン人脈や支援者が重なっている。上げ潮派はいまや野党自民党の中でも反主流派だけに、日の出の勢いの維新の会と組むことで政界の主導権を回復し、スポンサーを維持したいという思惑がある」(自民党町村派議員)という指摘があることも見落とせない。

※週刊ポスト2012年9月7日号

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン
保育士の行仕由佳さん(35)とプロボクサーだった佐藤蓮真容疑者(21)の関係とはいったい──(本人SNSより)
《宮城・保育士死体遺棄》「亡くなった女性とは“親しい仲”だと聞いていました」行仕由佳さんとプロボクサー・佐藤蓮真容疑者(21)の“意外な関係性”
NEWSポストセブン
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト