芸能

吉田豪×米良美一 客からの「もののけ!」の声に思い悩む

米良美一が吉田豪にホンネをぶちまけた

『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子といった様々なジャンルで活躍する論客が、毎号書き下ろしで時事批評を展開する。ここでは現在配信中の29号より「吉田豪の今週のオピニオン」の一部を公開する。

 * * *

 世界的なカウンターテナーとして活躍し、ジブリ映画『もののけ姫』の主題歌のヒットで一躍時の人となった米良美一がいま、バラエティー番組で躍動している。お笑い芸人たちと共に嬉々としてはしゃぐ姿を誰が想像しただろうか。あのプライドの高い米良に何があったのか。障害、恋愛、スキャンダル…。プロインタビュアー・吉田豪の前ですべてを語った。

──僕、米良さんに初めてお会いしたときに『天使の声~生きながら生まれ変わる』っていう本がすごい良かったって伝えたら、「ありがとうございます。でも、いまならもっと書けますよ」とか言われて。

米良:いやいやいや、もっと書けるというか、僕はここまで人として、ホントにややこしい、健康体の方が乗り越えてこられた忍耐とか我慢とか、そういうのは僕は全然ないまま生きてきたんですけど(笑)。人が経験してない痛みとか苦しみとか、そういうものはたくさん子供時代に経験してるわけじゃないですか。それがいいほうに作用することももちろんあるとは思うんですけど、やっぱりマイナスに作用することもたくさんあって。

 今、ようやく私も気づいてきて。そういう意味で、この頃には書けなかった言葉がいまだったらもっと違う言葉で書ける、違うことを伝えられる。いまこれを読むと、やっぱりまだかなりの量で世間や自分以外のものに責任を押しつけたり、何かのせいにしてたり、要するに原因を自分以外のものにしてるところが多分に見られるので。ただ、吉田さんが非常に好意的に言ってくださってるので。

──カミングアウトの第一歩としておもしろかったですよ。

米良:ただ、これがなかなか言えなくて。やっぱり『もののけ姫』で世に出させていただいたんですけど。

──それ以前の話をまず封印しなきゃいけなくなったわけですよね。身体の障害的なこともそうだし、そういう学校に通っていたこともそうだし。

米良:そうですね、学校のこととかホントに、名前が世の中に出たとき故郷に帰って…。

──故郷に錦を飾らなきゃいけないときに。

米良:飾りたいんだけど、必ずそこで 「学校どこだったっけ?」とか、たとえば芸能界の人とか、同じ宮崎出身の人とかに聞かれるわけじゃないですか。それを結局、自分で受け入れてないから、はぐらかすほうにエネルギーを使ったりして。だから地獄ですよね、自分の中では。

──スター的な扱いをされてても、常に隙間風が吹いていて。みんな、なんの悪意もなく無邪気に聞いてくるわけですよね。

米良:そう。ただ私がすごくマイナスに取るわけですよね。私のフィルターがそうなっちゃってるから。そういう経験をしたことがない方にとっては、そんなにそれが惨めなことだとか、蔑視的な意味で聞いてるわけじゃないっていまはわかるんですけど、全部私がそういうふうにとらえてしまって。

──印象的なのは、『もののけ姫』でヒットしたあとに、客席から「もののけ!」って声が飛んだとき、「見抜かれた!」と思ったっていう。絶対そんな意図は持ってないはずなのに。

米良:全然持ってないですよ。どっしりできていない自分が怖かったんでしょうね。「これが自分なんだ」って言えればよかったんですけど。

■撮影/林鉱輝

※メルマガNEWSポストセブン29号

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン