国内

若者の恋愛離れ 生身女性は自由きかずアニメやゲームに走る

「最近の若い男性は女子化しつつあるようです」

 と話すのは、ニッセイ基礎研究所生活研究部門研究員の久我尚子氏。

 例えば、母親と仲が良く、2人だけで外食したり、その場に同性の友人を呼んだりすることが増えている。これは「昔は女子しかやらなかったこと」(久我氏)だ。しかも、そのことをフェイスブックにアップし、男性の友人が「いいね!」と反応する。

 去年秋にはヒルトン小田原リゾート&スパが、男性グループで1泊2日を過ごして食事などを楽しむ、女子会ならぬ「男子会プラン」を提供して好評を博した。また、今年4月末から9月末まで、居酒屋チェーンの白木屋が様々な特典のある「男会」プランを提供している。

「男性は男性だけで楽しむ傾向が強まっているんですね。これは『恋愛離れ』と表裏一体の関係にあります。男性ほどではないにしろ、女性も同様です」(久我氏)

 男女とも20代の未婚率、交際相手を持たない未婚者の割合は上昇を続けているが、特に注目すべきなのが「異性との交際を望んでいない」人の割合が男性の18~19歳で34.7%、20~24歳で28.1%、女性の18~19歳で33.0%、20~24歳で22.8%もいることだ(国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」)。

「バブルの時に大人になっていた世代までは恋愛至上主義的なところがあったが、今の若者にとって恋愛は必ずしも関心の中心ではなくなっている」(久我氏)のだ。

 その背景にあるのは、ひとつは男性側の自信のなさだとされる。生身の女性はなかなか自分の思い通りにならず、面倒で、ストレスが溜まる。ならばと、アニメや恋愛シミュレーションゲームに走る。オタク文化に詳しい経済アナリストの森永卓郞氏が話す。

「今は技術が進歩し、ヴァーチャル恋愛の世界はどんどん進化しています。アニメキャラも恋愛シミュレーションゲームもリアルだし、ラブドール(かつて『ダッチワイフ』などと呼ばれた自慰グッズ)も1メートル離れたら本物の女性と区別がつかないくらいです。そのため、妄想の中で彼女たちを自由にすると、すごく快適なのです」

 4、5年前、森永氏が「オタクのカリスマ」と呼ばれる人物と渋谷でトークショーを行なった時のことだ。そのカリスマが「自分はアダルトビデオを見て処理している」と発言したら、オタクで埋まった会場からブーイングの嵐が起きた。「オタクならアニメを使え」というのだ。

 そこまで2次元の世界にはまる“解脱”した若者が増えている。森永氏によれば、オタクにとってはAKB48も、生身の女性ではなくキャラクターにすぎない。

 また、久我氏によれば、若者が「今、彼女(彼氏)からメールがきた」「今日はこれからデート」などと言うので、リアルの話だと思っていたら、実は登録している恋愛シミュレーションゲームのことだった、ということがよくあるという。しかも、冗談めかしてではなく、真顔で言っている。

「恋愛離れ」の背景には、恋愛や結婚に関する価値観の変化があるのだろうか――「いや、そうではない」と社会学者の山田昌弘氏は話す。

「今でもほとんどの若者は、普通に結婚して、子供を持ち、男は仕事、女は家事と育児に勤しむという結婚観を持っています。ところが、非正規雇用の未婚率が高いことが物語るように、経済力がないために結婚できない男性が増えたのです」

 そして、結婚を諦めた男性が恋愛に消極的になり、草食化しているというのだ。山田氏は、昔ながらの結婚観が変わったのではなく、変わっていないからこそ問題だと指摘する。その結婚観に縛られている限り、結婚できない男性が増え続けるからである。

※SAPIO2012年9月19日号

関連記事

トピックス

シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン