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意識高い系ビジネスマンの今後とその限界について識者が考察

 ブームにもなった仕事術、自己啓発系のビジネス書は今売れているのか。人気雑誌のリニューアルから「意識高い」系ビジネスマンの今を、作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考える。

 * * *
 この6月、『日経ビジネスアソシエ』がリニューアルしました。そう、ビジネスパーソン向けの「自分磨き雑誌」ですね。意識高い系雑誌です。

 今回のリニューアルですが……。率直に時代遅れ感が半端ないなと思いました。そして、この雑誌だけでなく、「自分磨き」というものの限界を感じた次第です。なぜ、そう感じたのか?そもそも、「自分磨き」で幸せになれるのか?私が解説しましょう。

 皆さんの中には、「そもそも、『日経ビジネスアソシエ』って何?」という人もいることでしょう。簡単に説明します。この雑誌は『日経ビジネス』の姉妹誌として、2002年に創刊されました。『日経ビジネス』が主に中堅クラス〜経営トップ層をターゲットとした、日本経済や企業の経営の動向を伝える雑誌だったのに対して、『日経ビジネスアソシエ』は20〜30代の若手ビジネスパーソンを対象にしています。ビジネス界のトピックスを伝えつつ、スキルアップ、仕事術のノウハウが満載、キャリアについてのヒントに満ちたものになっています。

 創刊当初は月刊誌でしたが、その後、隔週刊に。若手ビジネスパーソンを中心に人気を集めました。ライフハックや勉強会のムーブメントなどもブームのかなり前から取り上げていました。あの勝間和代さんが、まだ外資系証券会社に勤務していて、書籍デビューする前、彼女に注目し、連載を企画したのはこの雑誌です。「手帳活用術」を特集した2007年11月6日号で部数は過去最高になりました。

 しかし、その後、部数は下降。雑誌の事情に詳しい方によると現在の部数はピーク時の3分1以下だとか。2012年にはついに月刊に戻りました。

 この春には編集長も泉恵理子さんに交代し、このたび発売された2014年7月号からリニューアルが行われました。リニューアルですが、ポイントは大きく2つです。

1.登場人物の変更

 これまで紹介してきた企業内イノベーターなどの、活躍する若手ビジネスパーソンだけでなく、著名経営者、話題の人物も積極的に紹介。

2.15本の新連載

 連載が総入れ替えに。なんと、15本もの新連載のスタートです。ベストセラー『スタンフォードの自分を変える教室』の著者、ケリー・マクゴニガルさんが、日本の雑誌に初めての連載を掲載。NHK連続テレビ小説「花子とアン」の原案者であり、作家の村岡恵理さんの連載も。経営者や話題の人へのインタビュー企画、各界の著名人のリレーコラムなども始まりました。

 この2点が大きなポイントです。その他、2014年5月号から表紙の文字も明朝体になり、より上品なイメージになりました。

 ここまで見ると、かなり気合いが入っているように見えるリニューアルなのですが……。実は元読者だった私に言わせると、「いったいどこが変わったか分からない」というのが率直な感想です。

 泉編集長はリニューアルの挨拶で「著名経営者、話題の人物も積極的に紹介」と言っているのですが、その例として出ているYahoo!の副社長や、『島耕作』シリーズの著者弘兼憲史さんというのは、既視感のある登場人物です。著名経営者で言うならば、カルロス・ゴーンクラスも含めて初期にとっくに登場しているわけで。何が新しいのかわかりません。

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