国際情報

米国 尖閣で中国を牽制するが軍事対決するつもりは毛頭ない

 今年4月に来日した米国・オバマ大統領は「尖閣諸島は日本の施政権下にあり、日米安全保障条約第5条の適用範囲にある」と言明した。しかし、財団法人「ディフェンスリサーチセンター」専務理事の杉山徹宗・明海大学名誉教授は「中国に軸足をシフトさせつつある米国には日本を守る意思も覚悟もない」と警鐘を鳴らす。

 * * *
 21世紀に入り、アフガンやイラク戦争で財政が悪化した米国は国防費の大幅削減を強いられ、「世界の警察官」から「地域の警察官」へと規模を縮小しつつある。一方の中国は、米国との経済関係を緊密化しながら「A2/AD」(米軍の接近阻止・領域侵入拒否)と呼ばれる海洋軍事戦略を着々と推進してきた。

 2025年までに原子力空母6隻、原潜20隻を配備し、米軍に東アジア防衛を諦めさせるのが狙いで、将来的に米国と太平洋を分割支配することを画策している。そうなれば、中国は「米中安保」を呼びかける可能性が極めて高く、米国も中国との同盟関係を模索せざるを得なくなるだろう。

 かつて米国は中国を「戦略的コンペティター(競争者)」と呼び、同国の軍事膨張に警戒の目を光らせていた。ところが現在では中国を「ステーク・ホルダー(利益共有者)」に格上げし、まるで同盟国のように扱っている。

 昨年4月に初訪中したケリー国務長官は「米中という世界最強の2か国が国際社会の隅々まで目配りすれば相乗効果が生まれる」と述べ、中国要人から喝采を浴びた。近い将来を見据え、「今から米中両国で世界を仕切っていこう」というメッセージを中国側に発信したのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン