ライフ

どれくらい持つ? 痛い? 気になるヒアルロン酸注入の基本

ヒアルロン酸注入について説明する高見洋院長

 美容医療としてすっかり定着した「ヒアルロン酸注入」。顔のシワをなくしたり、肌の張りを保ったりといった効果は何となく分かるが、一体どういうものなのか知らない人も多いのでは。また、時折、施術ミスなどのニュースを耳にすることもあり、何をどこに打つのか確かに気になる。そこで、世界最大手のヒアルロン酸メーカー「ガルデルマ(Q-MED)」から世界初の「ヒアルロン酸注入の顧問指導医」に認定されている「タカミクリニック」美容皮膚科医の高見洋院長に、ヒアルロン酸注入の基本を教えてもらった。

 * * *

──そもそも注入時に使うヒアルロン酸はどういうものなんですか?

高見:ヒアルロン酸は、人間の体内でもともと作られている物質で、簡単に言えば皮膚の構成成分です。化粧品などに使用される「水分を維持して、肌に潤いを与える」といった目的と異なり、注入剤として使用する医薬品のヒアルロン酸は、「皮膚のボリュームアップ、ボリューム形成」を目的としています。そのため注入したヒアルロン酸が、長期間にわたって皮膚内部でボリュームがキープできるように、体内の酵素分解に抵抗できる構造に加工されています。

──そのヒアルロン酸を注入することで、肌に関する悩みを解消するということですね。

高見:そうですね。法令線などのシワや目の下のくぼみなど、皮膚のボリュームアップをすることで、悩みを瞬時に解消できます。しかも、ヒアルロン酸はもともと体内にある物質のため、アレルギーを起こすリスクもかなり低く、注入剤の中でもとても安全な製剤なので、安心して治療が受けられます。

──ヒアルロン酸注入で、具体的にはどういった効果があるんですか?

高見:人は年齢とともに、顔の皮膚や筋肉が痩せてボリュームが減り、弾力もなくなってきます。結果、シワや影ができたり、骨っぽさが目立ってくることによって、老けた印象に見えるんですよ。それらを総合的に解消できる方法がヒアルロン酸注入という施術なのです。ただ単にシワをなくす、法令線を消すだけでなく、年齢とともに失った皮膚や筋肉のボリュームを補い、ふっくらと厚みのある肌をつくることで、顔全体から若々しい印象が伝えられます。

──患者さんの年齢層はどんな感じですか?

高見:40代の女性が多く、続いて50代、30代といった感じです。

──男性の患者さんは?

高見:経営者の方とかも多いですよ。どうしても年をとると、シワや皮膚が痩せることによって顔が疲れた印象になり不健康な感じになって、人相が悪くなってきやすいんです。そこを若々しく健康的に改善していくことが多いですね。

──注入するヒアルロン酸には、どんな種類があるんですか?

高見:いくつかのメーカーから、様々なものが出ています。注入する部位によっても種類は異なりますし、どういった効果を求めるかでも違ってきます。たとえば、鼻や顎など輪郭形成をする場合や、目元など肌と馴染んだ仕上がりを求める場合、法令線など表情筋の動きと連動する場合…など、それぞれ粒子の大きさや粘度の違う種類を注入します。当院では、その注入方法も様々です。筋肉の中に注入する場合、骨の上に注入する場合、皮下に注入する場合など、とにかく部位や患者さんの状態、求める効果によって、オーダメイドの様々なアプローチをしていきます。

──どれくらいの期間、効果を保てるんですか?

高見:一般的には半年から1年で注入したヒアルロン酸がなくなるなんて言われていますが、そんなことはないですよ。熟練した医師が施術すれば、3年から5年は持ちますね。

──注入時の痛みは?

高見:部分麻酔を使うので、基本的にはほとんど痛みはないです。また、タカミクリニックでは、患者様それぞれの顔立ちやご希望にきめ細かく対応するため、オリジナルの注入針をメーカーさんの協力のもとに開発して使用しています。先が丸い鈍針を使うことも多いので、痛みや内出血のリスクはさらに低いですね。注入直後からメイクをして普段どおりの生活に戻られる方がほとんどです。

──患者さんからは、どういった部位への注入をリクエストされることが多いんですか?

高見:やはり目元と口元が多いですね。どうしても目の下のくぼみや法令線などのシワが目立ちますし、加齢を感じやすい部分ですから。ただ、実際の年齢感というのは、単純にくぼみやシワだけの問題ではないんですよ。もともとの骨格が影響している場合もあるし、人それぞれ皮膚の厚さも違うし、筋肉や脂肪の量も違います。そういった要素をしっかり考慮したうえで施術をしないと、思うような効果が得られません。なので、タカミクリニックでは、患者様のお顔の状態をしっかり把握したうえで、しっかり話し合って、それぞれ個々にあった形でオーダメイドの施術を行っています。

──総合的に悩みを解消していくというイメージですね。

高見:「自然」かつ「健康的」な形での若返りを実現することが重要です。たとえば、モデルさんが急激にダイエットした後、ゲッソリしてしまって不健康で老けた印象になった顔だけをヒアルロン酸注入で健康的な状態に戻すこともありますね。このように急激に戻すと不自然な印象を世間に与えることもありますので、最初からダイエットの計画にあわせて、1年とか半年とかスケジュールを組んで、徐々にヒアルロン酸を注入していく方法がおすすめですが、自然すぎて周りからは全然気づいてもらえなくて、私の仕事としては、それはそれで逆にちょっとさびしいですね(笑い)。

──でも、患者さんにとってはいいことですよ。

高見:そうなんですけど、こちらとしては上手に施術しているってことを知ってもらいたい気もします(笑い)。

──高見院長ならではの悩みですね(笑い)。

高見:とはいっても、僕自身、ヒアルロン酸を注入した部分を自分で触っても何の違和感もない状態にならないと、納得いかないという気持ちも大きいんですよ。「もともとこういう肌だった」と感じられることが何よりも幸せですからね。

撮影■津野貴生

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
“もしトラ”リスクも…(写真/AFP=時事)
【緊迫する中東情勢】イラン・イスラエルの報復合戦、エスカレートすれば日本にも影響 “もしトラ”リスクが顕在化
週刊ポスト