国際情報

中国軍最高幹部 軍トップの幹部登用に絡む汚職を実名で告発

 中国人民解放軍の最高幹部の1人で、習近平国家主席と極めて近いといわれる劉源・総後勤部政治委員が中国共産党機関誌「求是」最新号で、「腐敗は党や軍の最高幹部にまで及んでおり、国家に甚大な損害を与えている」などとの内部告発を行った。求是は党内でも最も権威のある理論誌だけに、ネット上では「腐敗幹部をどんどん取り締まれ」などとの書き込みが見られるなど、中国内でも大きな波紋を呼んでいる。

 劉氏は「習近平総書記の党を全面的に治める戦略思想を深く学ぼう」とする論文を発表。そのなかで、腐敗幹部の典型的な例として、すでに逮捕され、今年3月に末期がんで死亡した徐才厚・元中央軍事委員会副主席を名指しで批判し、「徐才厚は軍隊の人事に危害を与えた。まったく能力ないことが明らかな軍人を幹部の座につけ、民衆から信頼されている能力がある幹部を登用せず、党と軍隊に破壊的な損害を与えた」と徐氏の行為を厳しく論断した。

 米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「博訊(ボシュン)」によると、徐氏と同時期に、軍制服組ナンバー1の軍事委員会副主席を務めた郭伯雄氏と徐氏の2人は軍最高幹部の地位を利用して、幹部登用で賄賂を受け取っていた。郭氏は現在、当局により腐敗問題で取り調べを受けており、容疑が発表されるのは時間の問題と伝えられている。

 2人が幹部の地位につけた値段は少将級ならば500万元(約1億円)から1000万元(約2億円)、中将級は1000万元から3000万元(約6億円)という莫大な額だ。

 このような額は普通の軍人ならば到底払うことができないのは当然だ。これを払うことができるのは、よほど危ない橋を渡り、業者から多額の賄賂をせしめている悪徳軍人ということになる。

 劉源氏は論文の中で、「軍や党にもかかわらず、ここ数年、地方では分散主義や個人主義、派閥主義が横行し、幹部による家長制や独断専行がはびこり、政治の基準が曖昧模糊としている」などと痛烈に批判している。

 ネット上では「至極もっともな発言だが、習近平に近いから、そのような発言ができるのだ。暗殺されないように気をつけて」などと忠告する書き込みもみられている。

関連キーワード

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン