国際情報

米は頭の良さが遥か上のプーチン氏に会うなと安倍首相へ警告

 安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領に、訪日ラブコールを送り続けている。北方領土問題の解決を期待してのことだろうが、ゴルバチョフときもエリツィンのときも同じようなことがあったが、何も進まなかったので今回も同じだと作家の落合信彦氏は指摘している。日本の政治家がこれまでどうやってロシアに利用されてきたか、安倍首相とプーチンとの会談がなぜ不毛に終わると予測しているのかを、落合氏が解説する。

 * * *
 たとえば1998年に伊豆の川奈ホテルで行われた橋本龍太郎首相とエリツィン大統領(いずれも当時)の会談は、エリツィンが橋本を抱っこする映像と共に「解決に向けて合意」などと騒がれたが、その後何も進展はなく、後から見てみれば、ただ日本がロシア側への経済支援を約束しただけだった。

 つまりこれまでも、ロシア側の甘言に日本の政治家が乗せられ、日本のメディアも大騒ぎし、しかし最終的にはロシアに甘い蜜を吸われただけ、ということを何度となく繰り返してきたわけだ。

 いまロシアはアメリカやEUによるサンクション(経済制裁)の影響もあり、経済が急激に悪化している。そこでロシアは日本にすり寄ってきたのが見え見えなのに、安倍は得点稼ぎのためにその危険な誘いに乗ろうとしているのだ。

 安倍は日本もアメリカやEUのサンクションの一員であることを忘れてしまったのか。アメリカは何度も彼に「プーチンには会うな」と言った。KGBの中佐だったプーチンの頭の良さが安倍よりはるかに上であることをアメリカは知っている。プーチンはいま崖っぷちにある。欧米のサンクションが効き始めてきたのだ。

 そんな状態にあるプーチンが北方領土をエサに安倍と会って経済的支援を得れば、サンクションの一角が崩れる。そうすれば日本がG7から追い出される危険性もある。CIAが2000年12月に作り上げたレポートは「日本が2015年に先進国から滑り落ちる」と予言したが、安倍内閣が続く限りその予言は現実となるかもしれない。

 世界一嫌われているプーチンとともに、安倍は目先の支持率ほしさに国際的孤立の道を進み出した。

※SAPIO2015年8月号

関連キーワード

トピックス

硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン