国際情報

現代韓国社会最大の差別は容貌 就職・結婚はじめ人生を左右

 ソウルを歩くと似た顔の“美人”ばかりで驚く。それに比べると、日本はまだ“多様性”がある社会のようだが、多方面で進む「日本の韓国化」には注意が必要だと産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏は言う。

 * * *
 見栄え、見てくれ重視は近年、男性にも広がっている。ソウル都心の(有名企業の)IDカード(を首からぶらさげた従業員)の群れを見れば明らかである。みんな背が高くスマートなのだ。170cm以下はまずいないのではないか。韓国のビジネス街には男も女もチビやデブは少ないのだ。
 
 最近の韓国の子どもや若者たち(男)の最大の悩みやコンプレックスは何か? アンケートや相談ごとで見ると「背が低いこと」だという。これは子どもについてのお母さん方の最大の悩みにもなる。そこで背を高くしてくれるといって、密かに特効薬や健康食品、健康器具が話題になり、スネの骨を継ぎ足して長くする手術さえ流行っているとテレビが特集していた。
 
 筆者は長年、ソウルの若者街である新村ロータリーのワンルーム・マンションに住んでいる。周囲に延世大や梨花女子大など大学が四つあり、語学学校など専門学校も多い。マンションには学生をはじめ若者が入れかわり立ちかわりたくさん住んでいる。

 その彼らと毎日、朝晩、エレベーターで乗り合わせるが、彼らは男女問わず、乗ってから降りるまでエレベーターの壁についた鏡とにらめっこしている。他人の顔などまったく見ずに、自分の顔だけを熱心にためつすがめつしている。この心情は痛いほど分かる。

 現代韓国社会最大の差別は“容貌差別”だからだ。容貌で就職や結婚をはじめ人生の行方が決まる。だから最近は男性も就職シーズンになると整形手術する人が増える。韓国はしばしば外国から“整形天国”などと皮肉られるが、その背景にはものすごく厳しい現実があるのだ。
 
 日本に一時帰国の折、東京の丸の内や大手町、虎ノ門あたりに出かけて感じるのだが、サラリーマンもOLも美醜から体形まで実にデコボコで多様なのだ。これは韓国に比べての話だが、日本社会の人間評価における多様性を象徴しているように思う。これは守らなければならない。

※SAPIO2015年11月号

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン