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永田町裏流行語「抱きしめちゃう」「ヒゲ佐藤→パンチ佐藤」

 永田町には一般の人が聞いてもなかなかわからない、与野党の国会議員や秘書、国会職員たちの間だけで流行った独特の隠語、符牒がある。いわば「永田町裏流行語」だが、背景には意外に深~い意味や世相の反映があったりする。

 今年のハイライトはなんといっても安保乱闘国会。裏流行語が次々に生まれた。安倍晋三・首相は国会で民主党の辻元清美議員に「早く質問しろよ」、蓮舫議員の質問には「そんなのどうでもいいじゃん」とヤジを飛ばして批判されたが、実は、永田町の話題をさらったのは首相よりこの人の言葉の方だった。

◆「抱きしめちゃう」
 参院審議のキーマン、自民党の鴻池祥肇・安保特別委員長は法案採決前、記者とのオフレコ懇談で、「蓮舫あれはいい女や~」「(強行採決で蓮舫氏が委員長席に詰め寄ってきたら)抱きしめちゃう」などと大放言(本誌9月25日・10月2日合併号既報)。

「鴻池さんは、口は悪いが『参院は官邸の下請けとは違うんや』と野党に配慮した委員会運営をしていたから、実は野党からも評価されていた」(民主党秘書)

 しかし、いざ採決本番となると発言が仇となった。

◆「セクハラ部隊」
 野党側は特別委員長室前にピケを張り、鴻池委員長を缶詰にして抵抗した。その最前線に立ったのが、辻元清美氏、小宮山泰子氏、福島瑞穂氏ら20人ほどの女性議員、人呼んで「セクハラ部隊」だ。

 頭に〈怒れる女性議員の会〉と書かれたピンクの鉢巻きをして、排除しようとした自民党男性議員を「セクハラ!」「私に触らないで」と威嚇。その剣幕に「さしもの鴻池氏もイカれた、失礼、怒れる女性議員たちを『抱きしめる』どころではなくなってしまった」(全国紙記者)のだ。

 しかも、いよいよ委員会採決となったときに与野党が乱闘に突入。自民党は逆に、民主党の津田弥太郎議員が自民党の大沼瑞穂議員を引き倒したのが「セクハラ暴行だ」と非難の応酬となった。

◆「パンチ佐藤」
 このとき、委員長席の鴻池氏の用心棒を務めたのが陸上自衛隊出身の「ヒゲの隊長」こと佐藤正久議員。

「佐藤氏が委員長席にマイクを奪いに来た民主党議員にグーでパンチを食らわせたように見える写真が世界に配信され、同僚議員から『よっ、パンチ佐藤』と声をかけられてました。あの件で、『ヒゲ佐藤』が『パンチ佐藤』に変わってしまった」(自民党秘書)

※週刊ポスト2015年12月25日号

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