ビジネス

中国の混乱が日本に退潮もたらすという悲観論はあてはまらず

中国市場の混乱は日本にどう影響する?

 年明け早々、中国市場では7%超の株価下落で取引を強制停止する「サーキットブレーカー」が4日間で2度にわたって作動し、市場は大混乱に陥った。制度運用を一時停止する安定化策が取られたが、それも束の間、1月11日も5%を超える下落が起き、今年から導入されたばかりのサーキットブレーカーは早くも廃止された。

 そしてこの中国株ショックは世界の市場に波及し、東証の6日続落の主要因となった。昨年末に始まった米国の利上げも人民元安を招き、中国の混乱に拍車をかけている。

 しかし、中国株の暴落は、中国経済の実態を反映しているのか。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部研究員の野田麻里子氏は、中国の株式市場の特異性を指摘する。

「中国株式市場は取引の8割以上を個人投資家が占めるため、感情で動きやすい投機相場の色合いが濃い。年明けからの急落も、サーキットブレーカー制度が設けられたことで“売り遅れたら損が膨らむ”という焦りから売りが殺到し、下げ幅が拡大した結果です」

 中国経済の減速は事実だが、株価が示すほど悪化しているわけではなく、逆にプラスの材料もある。

「中国は内需拡大によって過度の投資依存型経済から脱却するという構造転換の真っ只中にあり、今の経済減速はその必然的な帰結です。最新の主要経済指標を見ると、2015年1~9月期の実質GDPは6.9%成長を遂げ、消費も前年比10%以上のプラスが続いている。サービス業など順調な伸びを確認できる指標も少なくありません」(野田氏)

 日本の主要エコノミストによる将来予想をまとめたESPフォーキャスト調査でも、中国景気に対して楽観的な見方が示された。三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミストの宅森昭吉氏がいう。

「昨年12月に実施した特別調査では、エコノミストの6割以上が、代表的な指標である製造業PMIが今年第3四半期以降は上昇すると回答しました。中国経済はゆるやかに回復し、年後半に行くほど持ち直すというのが専門家のコンセンサス。私も年央には回復すると見ています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

オフシーズンを迎えた大谷翔平(時事通信フォト)
《大谷翔平がチョビ髭で肩を組んで…》撮影されたのはキッズ向け施設もある「ショッピングモール」 因縁の“リゾート別荘”があるハワイ島になぜ滞在
NEWSポストセブン
愛子さまへのオンライン署名が大きな盛り上がりを見せている背景とは(時事通信フォト)
「愛子さまを天皇に!」4万9000人がオンライン署名、急激に支持が高まっている背景 ラオス訪問での振る舞いに人気沸騰、秋篠宮家への“複雑な国民感情”も関係か
週刊ポスト
群馬県前橋市の小川晶前市長(共同通信社)
「再選させるぞ!させるぞ!させるぞ!させるぞ!」前橋市“ラブホ通い詰め”小川前市長が支援者集会に参加して涙の演説、参加者は「市長はバッチバチにやる気満々でしたよ」
NEWSポストセブン
ネットテレビ局「ABEMA」のアナウンサー・瀧山あかね(Instagramより)
〈よく見るとなにか見える…〉〈最高の丸み〉ABEMAアナ・瀧山あかねの”ぴったりニット”に絶賛の声 本人が明かす美ボディ秘訣は「2025年トレンド料理」
NEWSポストセブン
千葉大学看護学部創立50周年の式典に出席された愛子さま(2025年12月14日、撮影/JMPA)
《雅子さまの定番カラーをチョイス》愛子さま、“主役”に寄り添うネイビーとホワイトのバイカラーコーデで式典に出席 ブレードの装飾で立体感も
NEWSポストセブン
12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
会社の事務所内で女性を刺したとして中国籍のリュウ・カ容疑者が逮捕された(右・千葉県警察HPより)
《いすみ市・同僚女性を社内で刺殺》中国籍のリュウ・カ容疑者が起こしていた“近隣刃物トラブル”「ナイフを手に私を見下ろして…」「窓のアルミシート、不気味だよね」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情