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国有企業多いため成長目指さない「中国株は必ず上がる」のウソ

 中国株が脚光を浴びている昨今だが、中国株を買うにあたって気をつけなくてはならないのは、そもそも中国株が日本株と大きく異なる点があること。それは、国有企業が多いということだ。特に香港市場に上場する中国企業の大半は国有企業なのだが、そのなかには「国有だから安心」とばかりもいっていられない、投資にはあまり適さない銘柄も存在する。

 中国株投資のカリスマ、グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が、「高成長を目指さない」国有企業の一例を紹介してくれた。

【特に成長目標はない】
「たとえば、大手製薬メーカーの山東新華製薬(香港・00719)という企業があります。私が実際に企業訪問した際に今後の目標を尋ねたところ、IR担当者からは『特に目標はない。需要が増えれば生産を拡大するし、需要が減れば縮小する』といった、極めて消極的な見解しか聞かれませんでした。これなどはまさに“典型的な国有企業の体質”といえます」(戸松氏)

【中国のGDP成長率より成長性は低くなる】
「広州から深セン、香港を結ぶ鉄道を独占的に運営する広深鉄路(香港・00525)を訪ねた際も、担当者の返答は『中国のGDP成長率(10%前後)ほど成長できるかは不明』というものでした。多くの中国企業で年20%以上の成長が見込めるなか、こうした姿勢では、積極的に株価が高値を追う展開は難しいのではないでしょうか」(戸松氏)

 なお、戸松氏によると、「山東新華製薬の場合、同じ山東省に本社を構える山東羅欣製薬(香港・08058)の担当者が『今後も年30-40%の拡大を目指す』と語っていたのとは雲泥の差だと思います。今のところ、前者のほうがシェアは高いが、今後そのシェアが後者に奪われる可能性は十分にあるでしょう」といい、「ただし、広深鉄路の場合、事業自体に独占性があって業績も安定しているので、株価が下がれば配当利回りも上がってきます。こうした銘柄であれば、利回り狙いで投資する手はあるでしょう」とのことだ。

 中国株投資をする際は、こうした視点を忘れることなく、じっくり銘柄を選びたい。

※マネーポスト2010年9月号

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