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いくら低額所得者でも連帯保証人になれば責任は発生する

「姉に県営住宅を借りるための連帯保証人になるよう頼まれました」――そんな悩みが弁護士の竹下正己氏のもとへ寄せられた。

【質問】
 姉が県営住宅に入居するにあたり、連帯保証人が必要だそうで、弟の私がなるように頼まれました。普通の保証人とは違うようですが、途中でいつでも辞めることができるものでしょうか。また、その場合の手続きは難しいのでしょうか。姉もくわしく知らないようなので、アドバイスをお願いします。

【回答】
 都道府県や市町村などの地方公共団体が賃貸する住宅には、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃での賃貸を目的に制定された公営住宅法の適用がありますが、入居者との間で賃貸借契約が成立することは、一般の賃貸借と同じです。
 
 ただし、募集や入居の手続きや入居者の資格、契約条件は、同法や各自治体の条例で定められ、連帯保証人の連署による申し込みが必要とされているのが普通です。そして、連帯保証人が入居者の家賃の支払い等の連帯責任を負うことも民間の賃貸借と同じです。
 
 あなたが連帯保証人になりお姉さんが家賃を滞納した場合、あなたが支払い責任を負うことになります。

 保証人を途中で辞められるかについてですが、契約である以上、理由や根拠なく勝手に辞められません。公営住宅は、前記の趣旨から賃貸借の期間の定めがないことが多く、実際、長期の入居になり、連帯保証人の責任も長期間に及びます。

 その不利益を理由として、一定期間経過後に連帯保証人を解約できるかですが、住まいである以上、長期的使用を予見していますし、あなたからの解約は無理だと思います。

 たとえば、お姉さんの息子が成人して就職するなど、保証人になれる条件を備えた時点で県に保証人の変更を申し出ることも検討できますが、県や関係者の同意がない限り、保証人を辞められません。

 県が長期にわたって滞納入居者への督促や明け渡し請求を怠った結果、高額になった未払い家賃を連帯保証人に請求した事件で、連帯保証人に連絡もしていなかったなどの怠慢な管理を理由に、請求を権利濫用とした判例があります。しかし、これは極端な例です。

 保証人になる以上、お姉さんと共同して、県に対して責任を持つ覚悟で調印してください。その自信がなければ断わるべきです。

※週刊ポスト2010年9月24日号

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