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円高で困るのは日本人労働者の雇用 政府はIT系支援すべき説

 現在は円高状況が続くが、がさらに進行した場合どうなるか。一つあるのが雇用問題だ。円高を理由に企業が海外に工場などを移転し、国内産業が空洞化、雇用が減るというリスクは大きい。

 日産自動車は9月20日、中国・河南省に新しい工場を稼働させた。ゴーン社長は、大きな理由として「円高」を挙げた。

 だが、冷静に考えればこれは方便だとわかる。河南省の工場は2年前に計画されたものだ。本当の理由は、人件費の安い海外に生産拠点を移し、利益を上げることにある。これまでも日本の自動車メーカーは“円高危機”の度に、それを理由にして工場の海外移転を加速させてきた。

 つまり、円高で困るのは「輸出企業」ではなく、働き口を失う労働者なのだ。雇用減少の流れは止めようがないが、どうすべきか。エコノミストの紺谷典子氏が指摘する。

「政府は、雇用のための補助金を特定の業界にバラ撒くよりも、高付加価値のある産業を育てるべきです。自由に事業を進められるようなインフラ整備や規制緩和を行ない、例えば、IT業界なら、国内のネットワーク整備を早急に進め、企業が事業を自由に展開できる環境を整えて、ベンチャー企業を支援する必要がある。新たな高付加価値産業が育たなければ、雇用も生み出せません」

※週刊ポスト2010年10月8日号

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