国内

大前氏 税制改革で低所得者の負担比率を軽くしてはならない

 日本は財政破綻、経済崩壊の危機に直面しつつある。では、現状を打開するにはどうすればよいのか? 本気で日本の財政再建を目指すなら、小手先の税制改革ではなく、税体系そのものを抜本的に刷新しなければならない。だが、その場合、税制を考える上で不可欠な二つの原則を徹底させなければならないと、大前研一氏は指摘する。以下、大前氏の解説。

******************************
 第1の原則は「税の公平性」である。民主主義の原則は「すべての人が公平に負担をする」ということだ。しかし、所得が増えると税率も上がる累進課税や年収が一定額以下の人は税金が免除される現行の税制はこの原則に反している。

 例えば、一部識者が提案している「貯蓄税」のように、1000万円以上の預金に対して2%課税するのではなく、すべての預金に1%課税する。そうすれば100万円なら1万円、1000万円なら10万円、1億円なら100万円という具合に預金の絶対額に応じた負担の大きさになる。それが「公平」というものだ。

 いま日本では、就労者でありながら所得税を払っていない人が約4割もいる。この割合は世界で最も高い。本当に貧しくて困っている人たちを救済する生活保護などのセーフティネットについては、別途、あってしかるべきだ。だが、負担の比率を軽くしては絶対にいけない。

 税金は薄く広く、全員が同じ比率で公平に負担すべきなのである。
 
※週刊ポスト2010年10月8日号

関連キーワード

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン