国内

財務省が素直に喜べぬ「たばこ増税」小沢一郎絡みの裏事情

 たばこ税が増税され、財源不足に悩んでいた財務省はさぞ喜んでいるだろう、と思いきやそうでもないらしい。ジャーナリストの須田慎一郎氏がその裏事情を明かす。

*********************
「マイルドセブン」が1箱300円から410円へ、「セブンスター」については1箱440円に、10月1日からたばこ税増税にともなって、たばこが大幅値上げされた。近年、大幅な税収不足が続く中にあって、唯一税収増が期待される分野と見ていいだろう。

 国の台所を預かる財務省としては、とりあえずホッと一息なのだろうと思いきや、どうも事情はそう単純なものではないようだ。

「今回のたばこ税増税は我々にとっては痛し痒しですよ……」 旧知の財務省幹部がこうボヤく。なぜか。この幹部が続ける。

「今回のたばこ税増税は、財務省が主導権を握って実現したものではない。実を言うと、本当の立役者は、民主党の小沢一郎元幹事長なのです。つまり今回の増税は、極めて政治的色彩の強いものと言えるでしょう」

 ならば小沢元幹事長の狙いはどこにあったのか。

「たばこ生産農家をはじめとするたばこ業界は、伝統的に自民党支持層が多いところです。こうした傾向は、今に至るもほとんど変化していないのです」(同前)

 今回の増税によって、たばこの消費量の減少トレンドにさらに拍車がかかるだろう、と予想される。そうなると結果的に打撃を受けることになるのは、他ならぬ生産者サイドだ。つまり自民党の支持基盤の一角が大きく揺らぐことになりかねない。今後、短期間にさらなる増税などということになったら、たばこ業界が大打撃を受けることは必至だろう。

「小沢元幹事長としては、そうした事態を回避するためにたばこ業界は民主党にすり寄ってくるはず、と読んでいたのでしょう」(同前)

 様々なシミュレーションがあるが、予想以上に売り上げが落ちれば、逆に税収減ということもあり得る。

「慎重に検討したかったが、我々とは別の思惑で決定されたという思いもある」(同前) たばこ税が政争の具となってしまったことで、財務省は喜んでばかりもいられないといったところだろう。 

※SAPIO2010年11月10日号

関連キーワード

トピックス

大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
結婚を発表したPerfumeの“あ~ちゃん”こと西脇綾香(時事通信フォト)
「夫婦別姓を日本でも取り入れて」 Perfume・あ〜ちゃん、ポーター創業の“吉田家”入りでファンが思い返した過去発言
NEWSポストセブン
村上宗隆の移籍先はどこになるのか
メジャー移籍表明ヤクルト・村上宗隆、有力候補はメッツ、レッドソックス、マリナーズでも「大穴・ドジャース」の噂が消えない理由
週刊ポスト
(写真右/Getty Images、左・撮影/横田紋子)
高市早苗首相が異例の“買春行為の罰則化の検討”に言及 世界では“買う側”に罰則を科すのが先進国のスタンダード 日本の法律が抱える構造的な矛盾 
女性セブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン