国際情報

「日本は腐っても鯛」だから中国は日本の土地不動産買い漁る

 最近、中国では「反日」機運が高まっているが、その一方で、中国人による「日本買い」が広がっている。中でも日本の土地・不動産の買い漁りは激しく、ノンフィクション作家の河添恵子氏は今こそ法規制が急務だと主張する。

******************************
 なぜ今、中国人は「日本買い」に邁進しているのか?

 中国には「狡兎三窟」(こうとさんくつ)という言葉がある。「ずる賢いウサギは3つの逃げ場を用意している」という意味だが、昨今の富裕層の資産管理も然り。資産は現金や預金だけでなく不動産や有価証券など3つ以上に分散する。不動産も国内、海外数か所と幾つも持ちたがる。「愛国」を表看板で掲げつつも、共産党政府系の人間を含め、政府・他者を信用していないことが根底にある。

 しかも中国国内では土地の所有は認められておらず、借地権のみ。なにより環境が劣悪で、食材にも不安があるという中で、リスク分散、投機目的、新たな利権確保のひとつとして「日本買い」がある。皮肉なことに、日本人にとっては経済の低迷続きで「不安」な日本も、中国人にとっては〝腐っても鯛〟高値安定の優良物件なのだ。

 そうした現実に対して日本政府はあまりにスキだらけだ。

 例えば、外国人土地法という法律がある(大正14年に制定)。その第4条には、「国防上必要ナル地区ニ於テハ勅令ヲ以テ外国人又ハ外国法人ノ土地ニ関スル権利ノ取得ニ付禁止ヲ為シ又ハ条件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得」とある。だが、この法律自体が、現在は形骸化している。

 2008年頃から、長崎県・対馬での韓国資本による土地取得が問題になったのを機に、同法が注目された。当時、政府はこの法律の活用を見送る答弁を行なったが、むしろ同法を強化して、例えば国防上の拠点や北海道の水源地など国民の安全・安心にかかわる土地の場合、外国人に対しては借地権に限定したり、取得数と面積、場所の制限を設けたり、不動産取得税の税率を大幅に上げるといった対策が急務ではないだろうか。

 実際、北海道の町村では、外国資本による「水源狙い」の土地取得に用地買収で対抗したり、条例によって開発・土地取引を規制する動きも広がっている。

※SAPIO2010年11月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
鳥取の美少女として注目され、高校時代にグラビアデビューを果たした白濱美兎
【名づけ親は地元新聞社】「全鳥取県民の妹」と呼ばれるグラドル白濱美兎 あふれ出る地元愛と東京で気づいた「県民性の違い」
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)を9月に上梓したルポライターの松本祐貴氏
『ルポ失踪』著者が明かす「失踪」に魅力を感じた理由 取材を通じて「人生をやり直そうとするエネルギーのすごさに驚かされた」と語る 辛い時は「逃げることも選択肢」と説く
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン