国際情報

中国の学生格差 BMWで通勤する者もいればPC買うカネない者も

 中国で大学生といえば、エリートのはずなのだが、そのエリートたちが日産やトヨタの車を破壊し、狂ったように「反日」を叫ぶ。その背景には、中国で拡大する「貧富の格差問題」がある。貧困層の学生の実態をジャーナリストの吉村麻奈氏が説明する。

******************************

 中国の新学期は秋から始まるが、浙江省杭州市にある浙江大学に進学した知人の長女、小華(18)の表情は入学早々から暗かった。中国でも有数の富裕層の多い都市・杭州の名門大学のキャンパスには、BMWで通学する学生、5000元(約6万1000円)近くする本物のiPhoneを持ち歩く学生、ファッションモデルのようにおしゃれな学生たちが大勢いる。

「なのに私は、授業に必要なパソコンを買うお金も持っていない」。小華は1年浪人すれば北京大学や清華大学も無理ではないと言われたほど成績優秀者だ。しかし、浪人して家計を圧迫するよりは今年入学確実の学校を選んだ。北京戸籍で決して貧困なわけではない彼女だが、せめて生活費くらいは自分で稼がなければ、とバイトに明け暮れる。

「自分ですら、こんなにコンプレックスが刺激されるなら、農村の貧困家庭出身だったら、もっとつらいと思う。だから、私は貧困学生が犯罪や暴力行為に走る気持ちがわからないでもないわ」と打ち明けた。

 小華が訴えるように、この数年の間、学内貧富の差が中国の大きな社会問題となっており、学内格差や就職難など学生を取り巻く問題をテーマにした連続テレビドラマ『卒業時刻』なども話題となった。貧困学生の問題が毎日のように新聞に散見される。

※SAPIO 2010年11月24日号


関連キーワード

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン