国内

鈴木宗男氏 TBSによる官房機密費報道謝罪に疑問の念抱く

受託収賄罪などで実刑が確定していた鈴木宗男氏が、12月6日、ついに収監のため東京高検に出頭した。

高検前で最後の会見に臨んだ鈴木氏は改めて無罪を主張し、「真実が明らかにならなかったのは悔しく思う」と述べた。鈴木氏は収監直前、官房機密費をめぐって、小渕政権で官房長官を務めた野中広務氏と対立していた。

今年7月21日放送のTBS系『NEWS23X』でインタビューに答えた鈴木氏は、「官房副長官を務めていた1998年の沖縄県知事選で、機密費から3億円が投入されていた」と証言した。しかし、それから1か月後の8月27日、番組内で松原耕二キャスターは、突如その証言について謝罪した。

「報道は、公平中立性を欠いたところがありまして、本来、官房機密費は、官房長官の専権事項でありますが、今回の報道は、当時の官房長官の野中広務氏に、鈴木宗男氏の証言内容について改めて取材を行なっておりませんでした。これは報道の公平中立性を欠き、視聴者に誤解を与えかねないものでした。野中氏はTBSの報道に対しまして、沖縄県知事選に官房機密費を支出したことはないと話しています。視聴者の皆様、またご迷惑をおかけした野中広務氏をはじめ関係者の方々にも、ここで深くお詫びいたします」――TBSは野中氏の抗議を受け、鈴木氏に相談もなく、勝手に謝ってしまったのだ。

この時の真相について、ジャーナリストの上杉隆氏が鈴木氏にズバリ聞いた。

上杉:TBSは唐突に謝罪をしました。野中氏に対して取材をしなかったという理由ですが、この対応をどう思われますか?

鈴木:私の官房機密費に関する発言は、私がTBSの取材を受けて、誠意をもって答えたものです。どうしてTBSが野中氏に謝罪する必要があるんですか? TBSは野中氏の発言の機会を作るなり、さらにはTBSが場を設けてそこに私と野中氏の2人を呼んで話をさせればいい。私はTBSにそういいました。

上杉:TBSには抗議したわけですね。

鈴木:しました。だって、テレビであの謝罪を見た人は、私のほうが嘘をついていると思ってしまう。

上杉:どうでしたか、TBSの反応は。

鈴木:いや、鈴木さんを否定していたわけではありませんと。

上杉:明らかに否定してるじゃないですか。TBSは結局、野中氏の側についたわけですね。

鈴木:ええ。

上杉:それがなぜかを取材して調べてみたんです。すると、野中氏は番組担当者ではなくもっと上の人間に「『時事放談』に出なくていいのか」といっていたというんです。

鈴木:そうなんですか。

上杉:そこまでいわざるを得ないほど、官房機密費の事実は隠さなくてはいけないものなのでしょうか。

鈴木:野中さんは、鈴木宗男が嘘をいっている、機密費はそんなものに使われていないという。でも、現実はどうだったのか。

上杉:鈴木さんは事実を語っているのですから、TBSがジャーナリズムだったらそれを報じるべきです。

※週刊ポスト2010年12月24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
2021年ドラ1右腕・森木大智
《悔しいし、情けないし…》高卒4年目で戦力外通告の元阪神ドラ1右腕 育成降格でかけられた「藤川球児監督からの言葉」とは
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン