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離婚する気ないが夫と別々の墓にはいりたい30才女性が悩む

夫と同じ墓にはいりたくない場合どうするべきか? 30才パート女性の質問に弁護士の竹下正己氏が答える。

【質問】
お墓のことで相談です。私は娘を連れての再婚で主人は初婚です。結婚当初から、私は義弟夫婦と折り合いが悪いうえに地域にもなじめなかったので、夫とは別居しています。離婚はせずこのままの形態を続ける予定ですが、夫の家のお墓にははいりたくありません。私の親は、実家のお墓の敷地に墓を建ててもよいといっています。離婚せずに墓を別々にすることは可能ですか。(30・パート)

【回答】
お墓を別にすることは、あなたの遺骨を娘さんが取得して供養できれば可能です。

民法897条1項で「系譜、祭具および墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する」と定められています。

「前条の規定」とは、普通の相続に関する規定のことで、死んだ人(被相続人)の財産一切が相続人に帰属するという普通の相続の効果を定めたものです。

しかし、お墓や位牌、家系図などの財産は、祭祀財産といい、通常の相続財産とは違う扱いをしています。

897条は、既にあるお墓の権利などの祭祀財産の継承に関する規定ですが、これらを承継する祖先の祭祀の承継者について、但書で「被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者」としているように、被相続人が祭祀の主宰者を決めることができます。そして、遺骨の帰属については諸説あるものの、祭祀の継承者が取得するというのが現在の通説です。

妻の祭祀を主宰するのは、通常は夫かもしれませんが、但書に基づき、あなたは娘さんを主宰者に指定しておくことが可能です。遺言でもいいですが、生前にしておくことも可能です。ただし、証拠に残さないと後で紛争になるかもしれませんので、文書にして娘さんに渡しておくとよいでしょう。

【解説】
竹下正己弁護士
1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。

※女性セブン2010年12月31日・2011年1月1日号

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