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櫻井よしこ氏 中国がウイグル族領土奪取した狡猾手法を解説

 中国覇権主義の拡大は、とどまるところを知らない。尖閣諸島が浮かぶ東シナ海だけではなく、南シナ海やインド洋、さらには中央アジアやアフリカにまでその触手を伸ばしている。これまで中国はどのように領土を拡大してきたのか、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が解説する。
 
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 中国の狡猾なやり方は、例えば新疆(しんきょう)ウイグル自治区に見て取れます。

 ウイグル人の国・東トルキスタンを軍事力で奪った中国は、ここを新疆ウイグル自治区と命名し、漢民族を大量に送り込みました。ウイグル人にすさまじい弾圧を加え、虐殺を繰り返すとともに、結婚適齢期の女性たちを親元から離し、沿海部の工場などで働かせつつ、中国人化教育を行なってきました。やがて彼女たちはウイグル語を忘れ、漢民族の影響に染まります。ウイグル自治区に残った男性たちには結婚の相手がいません。こうしてウイグル人の人口は減少を続けてきました。

 ウイグル人の亡命政府、東トルキスタン共和国の統計によりますと、ウイグル人1500万人に対して、移住してきた漢人は2000万人、漢民族が人口の多数派となっています。

 中国にとってウイグル人の人口減少も、失われつつあるウイグル人の未来も、ウイグル文化も何の意味もないのでしょう。彼らにとって必要なのは、本来、ウイグル人に所属しているはずの「領土」と「資源」だけなのです。

 新疆ウイグル自治区のウイグル人は、キルギス共和国、ウズベキスタン、カザフスタンなどと同じチュルク(トルコ)系の民族です。中国はこれら周辺各国に散らばるチュルク系の人々に手厚い経済援助を行なうことで、自治区内のウイグル人への後方支援を行なわせず、彼らを孤立させるよう仕向けてきました。

 さらにカザフスタンからカスピ海経由で新疆に延びる原油パイプラインなどを建設し、中央アジア諸国の豊富な資源を、自国のものにし始めています。ウイグル人の祖国を奪い、資源を手に入れ、中央アジア諸国を中国に依存させ、自らの勢力圏内に収めることに成功したのです。

※SAPIO2022年2月9日・16日号

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