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孤独死して1か月以上経つと頭蓋骨とミイラが残るメカニズム

 孤独死――東京23区では、毎日ほぼ10人が、人知られず逝く。〈監察医務院〉の調査では、2006年度、40代から60代の単身男性を中心に、男2362人、女1033人がそうして果てた。

 千葉県松戸市、新京成線で松戸から10分の距離に〈常盤平〉という団地がある。

 自治会長の中沢卓実氏に孤独死の遺体写真を見せてもらった。

 死後1か月以上経過した男性。仰向け。胸の筋肉がない。肺も心臓もない。朽ち葉色したあばら骨があらわになっている。腹部の内臓もごっそり抜き取られて、くぼんでいる。眼球がない。黒い穴が開いている。口は絶叫しているように大きく開いている。舌が、ない。

 中沢氏の解説。

「なぜ肉も目もないか。1か月も経つと臭いがして、キンバエが飛んでくる。普通のハエじゃなくてキンバエ。これが死体の目、耳、口、穴の開いているところに卵を産みつける。卵がかえると、細長いウジムシが湧いてくる。ウジは2週間でハエに羽化する。それを繰り返すわけ。1代目、2代目……。2週間ごとにウジはハエになる。そうすると、部屋は無数のハエで真っ黒になるんです」

 ほかにも幾葉か見せてもらう。

 ペットボトル、紙クズ、クッキーの箱、新聞紙、の脇に丸い頭蓋骨がある。筋肉は時間が経つと硬くなる。その堅い肉を好んで喰うハラジロカツオブシムシという蟲がいる。こいつが人間の最後の肉までしゃぶり尽して、頭蓋骨とミイラが残る。

※週刊ポスト2011年2月4日号

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