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森鴎外 両親と祖母を引き取るため日本初の二世帯住宅を建築

人は「終の棲家」をどのように決めるのか。軍医の傍ら創作活動にも意欲的だった森鴎外は、1892年、30歳の頃から没するまで、東京都文京区千駄木の観潮楼と呼ばれる邸宅で暮らした。2階部分から品川の海が見えたことがこの名が付いた由来だ。

当初、家は平屋だったが、両親と祖母を引き取るにあたり12畳の2階を増築した。鴎外こそが日本で初めての二世帯住宅を建築したといわれている。背景には妻と姑の不仲があった。喧嘩が絶えず、互いの居住空間に立ち入ることはなかったそうだ。行き来できたのは鴎外と子どもだけだった。

鴎外の次女である小堀杏奴の著書『晩年の父』(岩波文庫)によると晩年の鴎外は葉巻を吹かしながら本を読みふけり、部屋は天井まで本で埋め尽くされていたという。

※週刊ポスト2011年2月18日号

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