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離婚時の年金分割 妻が不利益をこうむるケース少なくない

 定年後の熟年離婚が増えてきた昨今。主婦をしていた妻にとって、心配なのが経済的な問題。離婚時の年金分割は可能だが、実際に妻がもらえる年金額はどうなっているのだろうか。公的年金、退職金制度、確定拠出年金制度などに詳しいファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんは、こう説明する。

「分割後の年金額は婚姻期間に影響されるため、婚姻期間が短い年の差夫婦(特に妻が年下)の場合、年金額だけを考えれば離婚によって不利益をこうむることになります」

 元夫が65才になって年金受給を開始しても、自分が受給できる年齢になるまで一切はいってこないばかりか、60才までは国民年金を支払い続けなければならない。さらに、結婚してさえいれば、専業主婦などの妻は、65才になるまで夫に支払われる年金に扶養手当のような配偶者加給年金+特別加算額(年額39万6000円)が支給されるのに対し、離婚するともらえなくなる。

 年金分割は、妻の受け取り額のみを考えると、本来受け取るはずだった金額に夫から分割を受けた分増加するため、得なように思えるが、実際はどうだろう。

「いざ離婚を考えたら、たいした分割は受けられないのに住み慣れた土地を離れ、アパートの家賃もかさんで大変…。知り合いもいない土地はさびしいから思いとどまった」というケースもあったという。

 家庭の財布を握っている主婦の場合、年金は夫の受給額も含めたふたりの合算がすべて自分の自由にできる場合が多い。夫婦でいることによって加算される金額もあるため、夫も妻も離婚してからの額を合算すると、目減りしてしまうこともある。離婚後に支給される年金で衣食住のすべてをまかなうことを考えると、経済的には不利益をこうむるケースが多い。

「しかし、年金について 勉強したことは決して損にはなりません。実態を知っておくことは離婚を切り出す際も、切り出された際も、双方が納得して決断する助けになります」(山崎さん)

 定年離婚を思いとどまるも、踏み切るもあなた次第。だが、いま一度、定年後の家計と生活をシミュレーションしてみる必要がありそうだ。

※女性セブン2011年3月24日号

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