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2011.03.16 07:00  週刊ポスト

柳家喬太郎 古典落語と新作落語のどちらを演っても観客を魅了

広瀬和生氏は1960年生まれ、東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。30年来の落語ファンで、年間350回以上の落語会、1500席以上の高座に接する。その広瀬氏が「必ず観客を魅了する」と勧めるのが、柳家喬太郎である。

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現代の「落語ブーム」を象徴する人気落語家に、柳家喬太郎がいる。

喬太郎は1963年生まれ。1989年に柳家さん喬に入門し、2000年に真打昇進。2004年度から3年連続で国立演芸場花形演芸大賞を受賞している。

彼は落語という芸能のポテンシャルを最大限まで引き出す演者だ。

さん喬は大ネタ人情噺を得意とする現代の「正統派古典落語の雄」。その一番弟子にふさわしく、喬太郎も古典の名手である。だがその一方で、「新作落語の教祖」三遊亭圓丈に衝撃を受けて新作落語を志した喬太郎は、自ら「圓丈チルドレン」と称する新作派の一員でもある。もともと喬太郎が頭角を現わしたのは、その斬新な新作落語が人気を集めたからだ。

伝統を背景にした古典落語と、現代を素材にした新作落語。喬太郎はそれをほぼ半々の割合で演じ、どちらを演っても必ず観客を魅了する。だが、それらに加えてもうひとつ、喬太郎には大きな武器がある。

それは、マクラの面白さだ。

本来「噺のマクラ」というのは落語本編に入る前の短い導入部に過ぎなかった。ところが、往年の立川談志が落語とは関係ない漫談を延々と語るスタイルを始めてから、次第にマクラで個性を発揮する演者が増えてきた。若き日の春風亭小朝はモダンなマクラで売れたし、現代には「マクラの小三治」もいる。

喬太郎も、志の輔と同じく「マクラ・新作・古典」の三者が一体となった「喬太郎ワールド」で観客を魅了する、極めてエンターテインメント性の高い演者である。ただし、老若男女すべてに愛される「志の輔らくご」と違い、「喬太郎ワールド」は、かなりマニアックだ。

喬太郎の新作には、ひたすらシュールなものもあればバカバカしくナンセンスなものもある。自作の『東京ホテトル音頭』を唐突に唄って唖然とさせたかと思えば「現代の人情噺」的な感動ストーリーで涙を誘い、胸キュンのラブコメで心をホッコリさせてくれることもある。

この「振り幅の大きさ」こそ、喬太郎落語の真骨頂だ。

※週刊ポスト2011年3月25日号

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