国内

災害時に携帯繋がりやすくするには値上げ必要なため非現実的

今回の東北関東大震災により携帯電話が不通になり、なかなか連絡がつかずに歯がゆい思いをした人も多いだろう。携帯電話が不通になった理由について、ITジャーナリストの井上トシユキ氏が説明する。

「地震の影響で被災地の基地局の機能が停止してしまったんです。基地局とは、携帯電話の通話やメールの中継点。被災地では基地局が壊れ、通信不能となったのです」

NTTドコモでは3200局、KDDIは1880局、ソフトバンクモバイルでは1800局の機能が3月14日現在も停止している。もうひとつの理由は、携帯電話会社が規制をかけたためだ。それは、大勢の人が一気に携帯電話を使用し、回線がパンク寸前になったから。NTTドコモ広報はこう話す。

「救助のために110番などの緊急通信や各自治体の災害救助用ダイヤルを優先にしました」

そのうえ、NTTドコモのホームページによれば、災害などの非常時には、公的機関や新聞社、放送局などとの契約が優先され、一般契約者の通信はコントロールされるのだという。

さらに、電話回線は一度に使える回線数が決まっているため、大量の電話が一斉にかかると、全体のシステムがダウンする。だから、規制をかけてある程度の量の携帯電話をつながりにくくしたのだ。しかし今回のような災害を想定して対策をとっておけないものなのだろうか。それについては、NTTドコモの広報がこう話す。

「災害時に携帯電話がつながるようにするのは、技術的には不可能ではないと思います。しかし、莫大なお金がかかります。例えば、(個々人の)月々の携帯電話代がものすごく上がってしまうなど、現実的に難しい状況です」

しかも、NTTドコモをはじめとするKDDI、ソフトバンクモバイルの大手3社とも、こう回答をしている。

「今後も同じことがないとはいえません」

しかし、命にもかかわることだけに、前出・井上氏はこう警鐘を鳴らす。

「携帯電話はもちろん、衛星電話やネットが使えるといったように、非常時でも通信が確保できるように国や自治体の総合的な対策が必要です」

※女性セブン2011年3月31日・4月7日号

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