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震災の被災者支えるには世間の関心がどの程度持続するかが鍵

 東北・関東大震災の被災者は現在もつらく不便な生活を強いられている。今後、不安・ストレスなどから様々な症状が現われると予想される。自身も阪神・淡路大震災の被災者であり、また当時、精神科医として被災者のケアも行なった野田哲朗氏が、過去の経験から、被災者のメンタル面への影響を説明する。
 
* * *
 実を言えば、阪神・淡路大震災の時は、最初の頃は皆が元気だった。落ち込んでいるような人は、あまり見なかったのである。皆がお互いで支えられているという感じだった。

 震災直後は全国から応援が駆けつけてくれる。ボランティアもあちこちの自治体から来ていて、言葉は不適切だがある種の高揚感があったほどだ。新聞やテレビでも「被災地、がんばれ!」という報道が連日流れており、日本人全体が注目し支えていたという感もあった。これは今回も同様ではないだろうか。

 この状態が1~2か月続いたと思う。その後、同年(1995年)3月にオウム真理教による地下鉄サリン事件が起き、日本中の関心は一気にそちらに移ってしまった。今回、報道、世間の関心がどの程度持続するかわからないが、仮に大事件が起きなくとも、徐々に世間の関心が薄れていく可能性は否めない。

 世間が関心を失ってしまうとどうなるか。阪神・淡路大震災では、被災者に孤立感が出てきて、顕著に様々な心の問題が発露してきたのである。

※SAPIO2011年4月20日号



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