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日中激しい眠気に襲われる肥満者は睡眠時無呼吸症候群を疑え

 睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の最重症型が、肥満低換気症候群(OHS)だ。患者は肥満の中高年男性が圧倒的で、SASの典型的な症状に加え、日中も体内に溜まった二酸化炭素(CO2)を換気できず呼吸不全となり、最終的に右心不全を起こす。治療は睡眠時に鼻マスクから空気を送り、呼吸を確保するCPAPを継続するほか、減量を行ない肥満の改善を目指す。

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は閉塞性と中枢性の2種に分けられるが、圧倒的に閉塞性が多く、全国に200万人以上の患者がいると推計されている。睡眠時に上気道(のどの部分)が閉塞し、呼吸が停止するため十分な睡眠がとれず、昼間に激しい眠気に襲われる。

 肥満低換気症候群(OHS)は閉塞性SASの最重症型と考えられ、重症SASの約9%がこの病気で、大半は超肥満の中高年男性だ。診断の定義はBMI(身長から見た体重の割合を表わす体格指数)30以上、AHI(1時間当たりの無呼吸と低呼吸の指数)30以上、非常に強い日中の眠気、動脈血中のCO2が45mmHg以上の4つ。原因は呼吸中枢の障害で、換気反応が低下したためと考えられている。日本大学医学部附属板橋病院呼吸器内科の赤柴恒人教授に話を聞いた。

「OHSは以前、ピックウィック症候群と呼ばれていました。症状はSASとほぼ同じですが、一番の問題は日中でもCO2が体内に溜まることです。CO2を換気できないので酸素を十分に吸えず、呼吸不全が起こります。呼吸不全が続くと心臓に負担がかかり、最終的には心不全を起こし死亡することもあります」

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2011年4月22日号

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