国内

福島避難住民「俺たちは原発に食べさせてもらってる」と語る

 日本の全発電量の26%を占めるまでになった原子力発電所。しかし、あれだけの事故が起こっているいまだからこそ、立ち止まってもう一度考えたい。「原発って必要だろうか」「なくすことはできるのか」を。

 原発は受け入れる地元にも大きなメリットをもたらしてきた。その最たるものが交付金だ。原発が建設される市町村には、「電源開発促進税法」「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」のいわゆる電源三法に基づく交付金が交付される。

 経済産業省資源エネルギー庁が発表しているモデルケースでは、原発1基あたりの交付金は運転開始までの10年間で約450億円。運転開始後の35年間と合わせると、総額は約1200億円にものぼる。ほかにも電力会社が地域振興のために拠出する寄付金が数十億円単位もあるという。

 いまは福島・郡山市で避難生活を送っている、福島原発の地元・富岡町の住民はこういう。

「昔は何もないとこだった。そんな町が原発のおかげで立派になったんだ。石のでこぼこ道が立派な舗装道路になり、建物も新しくなった。学校、図書館、公園、体育館役場…ほとんどの施設が原発の交付金で整いました」

 さらに原発は雇用を生み、原発で働く人たちを相手に商売する人たちも潤った。「周辺の町の人たちも含めて、原発で働いている人は多いんだよ。原発関係者はどこの家にも1人か2人はいるよ。原発関係者を相手に商売をしている飲食店などを含めれば、おれたちのほとんどが原発に食べさせてもらってるといっていいよ」(別の住民)

 しかし、原発によって豊かになった人たちの暮らしは、皮肉にもその原発によって打ち砕かれてしまった。

「国からも東電からも原発は絶対に安全だといわれ、それを信じてきた。まさかまるっきり信じたわけじゃないよ。心のどこかに“もしも…”ってあったけど、そんな日は絶対来ないといいきかせてきたから。それでもまさかこんなことになるとは思わなかった。でも、それでも原発は必要だったんだよ…」(前出・住民)

※女性セブン2011年4月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン