国内

71才ボランティア男性 被災地の水は一滴も使わず自前で準備

被災地でボランティアをするには、現地のボランティアセンター(VC)に登録するのが一般的だ。VCは主に現地の社会福祉協議会によって設置され、被災者のニーズとボランティアをマッチングする。そのニーズは地域の事情により異なる。仙台市社会福祉協議会・高橋健一さんはこう話す。

「震災から1か月が経ち、避難所の掃除、自宅に戻ったお年寄りの買い出しのお手伝い、家の中の片付けが増えてきました。しかし、まだ瓦礫の撤去すらできていない家屋も多く、ボランティアの出番はこれからです」

また、石巻市地域福祉推進課・佐藤正幸さんによると「作業の9割は住居の泥出しです」とのことだ。他には支援物資の仕分けやレクリエーションの手伝いなどで、素人にもできることがとても多いという。

仕事内容は、VCが決めて割り振るところもあれば、自分で選べるところもある。大分県のOさん(71)は震災後、車で3日かけて宮城県南三陸町に到着し、現地のVCに登録した。6年前、徒歩で日本を縦断した経験をもつOさんは、そのとき同町の人々から受けた親切への恩返しをしたいという思いを抱いていた。

Oさんは、南三陸町のVCで、瓦礫の中から思い出の写真やアルバムなどを探し出す『思い出探し隊』を募集しているのを知り、参加。ある日は足場の悪い中で3時間作業し、ランドセルや通帳を見つけたという。

Oさんの準備は周到だった。20日間滞在するために水30リットル、米30kg、ガスボンベ10本、寝袋や自転車など大量の物資を持参した。被災地の水は一滴も使わず、すべてを持参した水でまかなっている。物資がぎっしり詰め込まれた軽自動車内のわずかなスペースで眠るが、燃料は貴重なため、現地到着以来、1回もエンジンをつけていない。夜は芯から冷え、コップの水が凍ったことも。

「食べ物と寝る場所は“自己完結”することが個人ボランティアの大原則です」(Oさん)

※女性セブン2011年5月5日号

関連キーワード

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン