ライフ

日本の勃起障害患者1000万人 3~4週間に1本の注射で改善も

 ベストセラー『がんばらない』の著者で、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、医療現場で、最近「男子更年期障害」の患者と遭遇する。鎌田氏が「男性更年期障害って何だ?」を解説する。

 * * *
 内科外来をやっていると、男性更年期障害と思われる中年の患者さんがやってくる。ちょっとしたことにイライラして、抑うつ的になっていたり、無気力になったり、つねに疲労感を感じたり……。腰が痛いと体の不調を訴え、不眠がちの患者も多い。

 うつ病の初期に似ているけれど、実は違う。内科外来では聞きづらいテーマではあるが、性欲が低下していないか、勃起障害や射精障害はないかを聞き出す必要がある。

 1998年の調査によると、日本には1000万人近くの勃起障害の患者がいると推測されている。

 勃起障害を起こす要因は、年齢的な要素に加え、タバコ、高血圧や糖尿病、肥満、うつ病なども勃起障害の原因となる。

 こういった症状があるとき、男性ホルモンであるアンドロゲンが低下していないかを確認する。女性ホルモンが低下して、中年になって女性が更年期障害になるのと同じで、それになぞらえて、日本では男性の更年期障害と表現されてきた。

 男性の更年期障害は、アンドロゲンの注射を3~4週間に1回打つことによって、症状が改善することもある。

 アンドロゲンは、男らしさを作るホルモンなので、これが減ると筋肉量が落ち、骨密度も下がり、認知力の低下も起きて、アクティブだった男性がしゅんと縮こまることが多くなったりする。性機能の低下だけではなく、造血力も低下し、慢性の貧血をひき起こしたりもする。

 先にあげた症状のうち、いくつかが重なっている場合、「加齢男性性腺機能低下症候群」という病気ではないかと疑う。長ったらしい、大げさな病名だけど。

 これが疑われる場合には、テストステロンという精巣ホルモンの補充療法を行なってみるのも、ひとつの手だ。勃起障害に対しては、テストステロンだけで効果が上がることもあるが、多くの場合は、これにバイアグラを併用する必要があることが多い。

 日本には3種類のED(勃起不全)の治療薬があり、泌尿器科で男性更年期障害及び、ED治療も行なわれている。

 いずれにせよ、名前が怖そうなだけで、専門医に診断をしてもらうと、思いのほか効果がある。それまで辛く、悩んでいた症状が、あっという間に解消する場合もあるのだ。

※週刊ポスト2011年4月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
高校時代には映画誌のを毎月愛読していたという菊川怜
【15年ぶりに映画主演の菊川怜】三児の子育てと芸能活動の両立に「大人になると弱音を吐く場所がないですよね」と心境吐露 菊川流「自分を励ます方法」明かす
週刊ポスト
ツキノワグマは「人間を恐がる」と言われてきたが……(写真提供/イメージマート)
《全国で被害多発》”臆病だった”ツキノワグマが変わった 出没する地域の住民「こっちを食いたそうにみてたな、獲物って目で見んだ」
NEWSポストセブン
2020年に引退した元プロレスラーの中西学さん
《病気とかじゃないですよ》現役当時から体重45キロ減、中西学さんが明かした激ヤセの理由「今も痺れるときはあります」頚椎損傷の大ケガから14年の後悔
NEWSポストセブン
政界の”オシャレ番長”・麻生太郎氏(時事通信フォト)
「曲がった口角に合わせてネクタイもずらす」政界のおしゃれ番長・麻生太郎のファッションに隠された“知られざる工夫” 《米紙では“ギャングスタイル”とも》
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
「鳥型サブレー大図鑑」というWebサイトで発信を続ける高橋和也さん
【集めた数は3468種類】全国から「鳥型のサブレー」だけを集める男性が明かした収集のきっかけとなった“一枚”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン