国内

大地震時の孫正義氏「1時間くらい茫然自失で動けなかった」

 ソフトバンク社長・孫正義氏の「志」に迫った本誌連載『あんぽん孫正義伝』。連載終了と同時に日本を国難が襲った。孫氏は次々と被災者支援を打ち出す。以下は、『あんぽん』筆者の佐野眞一氏(ノンフィクション作家)と孫氏の一問一答である。

 * * *
――ところで、3月11日の大地震のとき、孫さんはどこにいましたか?

「社長室の会議室で、スタッフとプロジェクトのミーティングをしていました。突然、大きな揺れがきて、テーブルの下に潜りましたよ。その後すぐに『テレビをつけろ』といって、NHKを観ていました。最初は津波が来るといってもさざ波みたいでしたが、あれよあれよというまに、どんどん船や家や車が流され始めた。頭が真っ白になり、しばらく呆然としていました。部屋には5、6人いたけど、全員無言。それから1時間くらいは茫然自失で腰が抜けたようになって動けなかった。

 もちろん、うちのネットワークは大丈夫か、社員は、お客さんは大丈夫かといったことは気になりました。でも、その瞬間から電話がつながらなかった」

――いざというときに携帯がつながらない。

「携帯も固定も、普通は1人当たり1日平均3分くらいしか使わないんです。各社ともその10倍くらいのキャパシティは持っているんですが、100倍のキャパは用意していない。あのときはキャパシティを完全に超えて、電話は各社ともストップしてしまった」

――携帯電話会社の社長でさえ、連絡がとれない状態だったということですか。

「ええ。エレベーターも止まっていたので下の階にいるうちの技術部門のヘッドの連中が、10分おきくらいに『どこどこが倒れました』と状況報告にくる。階段を駆け上り息を切らして、ゼーゼーいいながら」

――倒れたというのは、通信アンテナが倒れたということですか?

「いいえ。ネットワークが止まったということです。物理的に、どこがぶっ倒れたというのはわからない。通信の信号が止まった。それから、電気が止まったと。この時、電気がないと通信はつながらないんだということを、改めて理解しました。腹の底からね」

※週刊ポスト2011年5月6日・13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

妻とは2015年に結婚した国分太一
「“俺はイジる側” “キツいイジリは愛情の裏返し”という意識を感じた」テレビ局関係者が証言する国分太一の「感覚」
NEWSポストセブン
二刀流復活・大谷翔平の「理想のフォーム」は?(時事通信フォト)
二刀流復活・大谷翔平の「理想のフォーム」は?「エンゼルス時代のようなセットポジションからのショートアームが技術的にはベター」とメジャー中継解説者・前田幸長氏
NEWSポストセブン
24時間テレビの募金を不正に着服した日本海テレビ社員の公判が行われた
「募金額をコントロールしたかった」24時間テレビ・チャリティー募金着服男の“身勝手すぎる言い分”「上司に怒られるのも嫌で…」【第2回公判】
NEWSポストセブン
元セクシー女優・早坂ひとみ
元セクシー女優・早坂ひとみがデビュー25周年で再始動「荒れないSNSがあったから、ファンの皆さんにまた会いたいって思えました」
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一
【スタッフ証言】「DASH村で『やっとだよ』と…」収録現場で目撃した国分太一の意外な側面と、城島・松岡との微妙な関係「“みてみぬふり”をしていたのでは…」《TOKIOが即解散に至った「4年間の積み重ね」》
NEWSポストセブン
衝撃を与えた日本テレビ系列局元幹部の寄付金着服(時事通信フォト)
《24時間テレビ寄付金着服男の公判》「小遣いは月に6〜10万円」夫を庇った“妻の言い分”「発覚後、夫は一睡もできないパニックに…」
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国民に愛された『TOKIO』解散》現場騒然の「山口達也ブチギレ事件」、長瀬智也「ヤラセだらけの世界」意味深投稿が示唆する“メンバーの本当の関係”
NEWSポストセブン
漫画家の小林よしのり氏
小林よしのり氏、皇位継承問題に提言「皇室存続のためにはただちに皇室典範を改正し、愛子皇太子殿下の誕生を実現しなければならない」
週刊ポスト
警視庁を出る鈴木善貴容疑者=23日午前9時54分(右・Instagramより)
「はいオワター まじオワター」「給料全滅」 フジテレビ鈴木容疑者オンカジ賭博で逮捕、SNSで1000万円超の“借金地獄”を吐露《阿鼻叫喚の“裏アカ”投稿内容》
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「TOKIOを舐めるんじゃない!」電撃解散きっかけの国分太一が「どうしても許せなかった」プロとしての“プライド” ミスしたスタッフにもフォロー
NEWSポストセブン
大手芸能事務所の「研音」に移籍した宮野真守
《異例の”VIP待遇”》「マネージャー3名体制」「専用の送迎車」期待を背負い好スタート、新天地の宮野真守は“イケボ売り”から“ビジュアル推し”にシフトか
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン