国際情報

中国の軍事関連情報や分析 世界でワシントンが最も豊富な宝庫

膨張を続ける中国。対する超大国・アメリカはかの国をどう分析しているのだろうか。その実態を産経新聞ワシントン駐在編集特別委員の古森義久氏が解説する。

* * *
アメリカの首都ワシントンでいま最も重厚な論題といえば、中国の軍事力だろう。もちろん日本の大震災や、中東での政治動乱も切迫した緊急大テーマではある。だがここ1年ほどの中期のレンジでは、なんといっても中国の軍拡こそが最も広範かつ頻繁に、しかも熱をこめ論じられてきた課題だといえる。

連日のように議会での公聴会、政府高官の記者会見、官民の研究所での討論会など、多様な場で中国の軍事力問題が取り上げられてきた。

アメリカがこれほど中国の軍拡を気にかけるのはまず第1に、その軍拡の疾走していく方向には、どうもアメリカ自体が標的として位置づけられているような構図が浮かぶからだ。

第2には中国の軍拡は日本や台湾に大きな影響を及ぼし、その背後のアメリカのアジア政策とぶつかり、さらにはアメリカが主導する現行の国際秩序への挑戦ともみえるからだ。中国の大軍拡がいま世界を揺さぶるといっても、過言ではないのだ。

中国の軍事の実際の動向についてはアメリカの情報収集力は抜群である。秘密のベールに覆われた中国の人民解放軍の兵器や兵員の動きを、人工衛星や航空機での偵察、通信傍受、さらには古典的なスパイ活動などの手段で察知する。スーパーパワーたる所以でもあろう。だから中国の軍事動向は中国領内にいてはかえってよくわからず、ワシントンのほうが公開情報が多いという実態なのである。

中国の軍事を研究する専門家も官民で数を増してきた。東西冷戦の長い年月、アメリカの国際問題研究ではソ連の軍事力が最大の課題であり、人材もその分野に集中していた。だがいまその集中が中国の軍事研究へと移ってきたという感じなのだ。いまでは中国の軍事についての情報や分析は、全世界でもワシントンが最も豊富な宝庫となったといえる。

※SAPIO2011年5月4・11日号

関連キーワード

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン